農地届け出時の実態把握 近畿行政評価局が調査

総務省近畿管区行政評価局は、相続などで得た農地の届け出時における添付書類についての実態を調査し、当事者の負担軽減に向けて、その結果を近畿農政局に提供した。速やかに近畿農政局から市町村に通知され、農林水産省を通じて全国レベルでの課題解決へと広がっている。
同評価局の今住秀孝評価監視部長によると、奈良県で昨年1月、同届け出の手続きで「登記事項証明書」の添付を求められた人から、制度上必要なのかという行政相談が寄せられたことが発端。
届け出る人の時間や費用の負担軽減などを目的に、同評価局は同8月から12月まで、近畿農政局管内の6府県から抽出した43市町村で調査を実施した。その結果、65%に当たる28市町村で、法令で定められていないにもかかわらず、同証明書などの添付書類の提出を求めている実態が判明した。理由として、届出情報の確認や農地台帳への正確で迅速な反映に不安がある、という声があった。一方で自治体は、年に1度、農地台帳と固定資産課税台帳との照合が義務付けられており、登記所から通知される「登記済通知」で、情報の最新性に努めている市町村があることも把握した。
同時に近畿農政局は「根拠規定がない添付書類を求めるのは好ましくない」との見解を示し、府県を通じてことし1月、市町村に不要な添付書類の提出を求めない適切な事務処理の徹底や、登記済通知の活用を紹介するなどを周知した。確実な改善を図るため、今後も継続して改善の確認をしていく。
動きは全国に広がり3月4日、農水省が地方農政局などを通じて市町村に同通知を実施した。
また同評価局は、気象災害などでの帰宅困難者対策の推進に関する調査を実施し、近畿運輸局に昨年7月、改善意見を通知した。意見を受け、鉄道事業者と沿線の地方公共団体との協力体制の構築などの連携強化が進んでいる。
今住部長は「今後も行政相談と調査などを連携し、行政運営の改善に取り組むことで、国民に寄り添う行政の実施に向け、努力していきます」と話している。