最優秀賞に大木さん 有吉佐和子文学賞決まる

和歌山市出身の小説家、有吉佐和子(1931~84)の名を冠し創設された「有吉佐和子文学賞」第2回受賞作品が決定し、1512作品の中から最優秀賞に、紀の川市の大木篤子さん(76)の『節約の幸福論』が選ばれた。

9日の定例会見で尾花正啓市長が発表した。同文学賞は、2023年に創設し、全国の中学生以上を対象にエッセーを募集。応募の年齢層は中学1年生から93歳と幅広く、10代が651人で最多。居住地別では和歌山市内が201人、海外からも応募があった。

選考は、有吉佐和子記念館の恩田雅和館長をはじめ、有識者4人からの意見聴取を経て決定した。

最優秀賞の『節約の幸福論』は、若い頃に不安があった「老いること」が想像とは違い、年老いたからこそ手に入れることができた幸せの数々があり、人生で今が一番好きだと言い切れる作者の日常や思いをつづった作品。「多くの人が不安を抱く長寿に対し、これほど明るさと希望を提供してくれた読み物は初めてであり、有吉佐和子文学賞にふさわしい」と評価を受けた。

尾花市長は「あったかくて言葉や文章がきれい。良い作品。有吉さんが幅広い年齢層の人から慕われているからこそ、応募に参加してくださったのでは」と話した。本紙エリアでは、奨励賞に滝本昇生さん(開智中1年)、宮本紗希さん(和歌山信愛高2年)が選ばれている。受賞作品は6月1日の表彰式後、市ホームページなどに掲載される。