家形埴輪など修理完了 風土記の丘で展示再開

修復を終えた家形埴輪と萩野谷学芸員
修復を終えた家形埴輪と萩野谷学芸員

和歌山市岩橋の紀伊風土記の丘で、同施設が管理する重要文化財の県大日山35号墳から出土した埴輪(はにわ)2点の保存修理が完了し、資料館常設展示室で展示が再開された。

保存修理されたのは6世紀前半、古墳時代に作られた3分割焼成の家形埴輪と、矢を入れる武具「胡籙(ころく)」を模した胡籙型埴輪。

家形埴輪は入母屋造り屋根のある高床式の家の形で152㌢ある。全国で5番目の高さで、三つの部分に分けて焼かれたと推測される。

胡籙型は県外でも出土しているが、完全な形で修復されたものとしては全国初で同館にしかない。

2003年度から05年度までの発掘調査で出土。同館の専門の職員らによって復元され展示していたが、接着剤などの劣化が進んだため、専門機関の公益財団法人元興寺文化財研究所に委託。3年かけて解体修理と復元・補彩が行われた。

同館の萩野谷正宏学芸員(51)によると、3分割の家形埴輪はとても珍しく、最大の同型古墳がある大阪府高槻市の今城塚古墳のものと酷似していることから、和歌山が当時、埴輪に関する最新の技術や大和王権とのつながりを持っており、強い権力のある豪族が和歌山にいたことを示す資料になるという。

萩野谷学芸員は「どちらも未来に残すべき貴重な資料。大きな力を持つ権力者が和歌山にいたと、1500年前に思いをはせてもらえたら」と話している。