小型で軽量に 和大発ベンチャーのアシストスーツ

和歌山大学発ベンチャー企業のパワーアシストインターナショナル㈱(和歌山市中)は、農業・介護・建設・物流などの現場で、腰を使う労働の負担を減らすランドセル型の軽量パワーアシストスーツを開発した。従来のモデルを改良してデザイン性を上げ、価格を安くした。15日から販売代理店などを通して販売とリースを始める。
同社は同大名誉教授の八木栄一さん(76)が代表を務め、大学発ベンチャー認定第1号として、2015年3月に設立。米農家からの要望を受け、18年に多機能型の同スーツを初めて開発・販売した。
新型は女性や高齢者が使いやすいように改良。モーター内蔵のランドセル型で、両太股にベルトを固定するだけで装着が完了する。従来の4・7㌔から2・9㌔に軽くなり、コンパクトですっきりした見た目。黒と茶の2色がある。

有田市のミカン農家など、さまざまな職業からの声を生かし、「持ち上げ」と「中腰作業」の二つに特化した。「持ち上げ」の力は7・5、10、15㌔の3段階で調節可能。モーションセンサーが人の腰の動きや傾きなどを検出し、動きに合わせて作業をアシストする。1時間の充電で8時間稼働。動きを絞ったことで価格が従来の1台120万から60万になった。
同市栄谷の同大産学連携イノベーションセンターで発表会が開かれ、八木さんが、農家の「もっと働きたい」という声や、改良に3年かけた製品へのこだわりなどを紹介した。
参加した同大の本山貢学長は「八木先生を筆頭に学生も開発に加わり、大変光栄。人手不足や高齢化を支えるこのスーツに大いに期待している」と激励した。本山学長もスーツを着用して使用感に驚いていた。
八木さんは「和歌山から日本、さらに世界を元気にしたい。労働者の腰痛をなくして女性や高齢者が成人男性と同様に働ける社会になれば」と話した。
初年度は年間100台を販売目標としている。問い合わせなどは同社(℡073・488・3211)かホームページから。