歴史たどり意見交換 在外県人会の次世代交流

和歌山への思いについて意見を交わす参加者
和歌山への思いについて意見を交わす参加者

和歌山県にルーツを持つ在外県人会の青少年らが県内の高校生らと交流し、郷土への理解を深める「第1回在外和歌山県人会次世代リーダーズの集い」が7月26日から8月2日まで、県内で初めて開かれた。

参加者はアメリカ、オーストラリア、ブラジルなど8カ国10地域の在外県人会の青少年16~39歳の13人と県内の橋本、桐蔭、日高、近大付属和歌山の4高校の5人の生徒。

1日には和歌山市内のホテルアバローム紀の国でワークショップがあった。参加者は県内の移民関係施設や企業、教育機関などを訪問。郷土学習を踏まえ、五つのグループに分かれて県と県人会の交流の活性化についてのプレゼンテーションを行った。

各々が所属する県人会の歴史や行事、取り組みなどを紹介し、課題も提示。現在、県人会では日本語を話せる若者が減少しているという。それらの状況を改善するためにSNSを活用する、無料の日本語レッスンを行う、国際スピーキングコンテストを開いて日本語能力の向上を図るなど、日本語にふれる機会を増やすよう提案。県や国などの行政に対しても支援を呼びかけた。

また、多文化共生研究の第一人者で、祖父が和歌山からブラジルに渡った移民という武蔵大学社会学部のアンジェロ・イシ教授が「和歌山県と世界を繋ぐ次世代への期待」をテーマに基調講演。ビザが緩和されたこと、国際線の増便で日本に行きやすくなっていること、政府や民間団体が交流プログラムを組んでいることを例に挙げ、これらが次世代が海外交流を行うための追い風になると話していた。2023年のWBCに日本代表として選出・出場したアメリカ出身のラーズ・ヌートバー選手らの世界で活躍している日系人の紹介もあった。

参加した近大付属和歌山の宇多奈々美さんは「言葉の壁は少しの努力で壊せるということが分かった。海外に興味がある生徒は多くいると思うので、和歌山にルーツを持つ外国人とつながる機会があることをみんなにも知ってほしい。県が県人会の情報を積極的に発信して、学校にも連絡があればもっと交流の機会が増えるのでは」と話した。