玉城ちはるさん「命の参観日」 12日に講演

18歳の時に父親を自死で亡くしたシンガー・ソングライター玉城ちはるさん(45)による講演会「命の参観日」が12日午後6時半から、和歌山市本町1丁目のインターラーケンで開かれる。講演への思いを玉城さんに聞いた。
玉城さんは広島県出身。高校生の頃に父親が精神疾患を患い、母への暴力や自殺未遂を繰り返した。
玉城さんは「近所の人にばれるといけないと思い誰にも相談できず、自分がどうにかしないといけないと必死でした。今でいうヤングケアラーでしたね」と振り返る。
父親の死後は「そばにいながら命を救えなかった」と深い自責の念を抱えた。経済的理由で大学には通えなくなり、中退。東京へ行き、アルバイトをしながら得意の歌で音楽活動を始め、2007年にデビュー。
24歳の頃、バイト先で経済的な困難さで部屋を借りられない中国人留学生と出会い、自宅に招き入れたことをきっかけにホストマザーとしての活動をスタート。10年間で36人の留学生や児童養護施設出身者、親がいない子などと共同生活を行ってきた。
その中で経験した異文化の者同士が共に生きることの大切さ、他者を理解し受け入れることの難しさ、自身が乗り越えた苦労を伝えようと、各地で講演会を行ってきた。
ある時、小学校の校長から「今の子どもたちにとって、自分とは違う人を排除する、またはされるというのは命に直結する問題。1年生でも分かるように多文化共生の話をしてほしい」と頼まれ、生まれたのが「命の参観日」。2016年に始めたところ、口コミで全国に広まり、これまで300を超える小中高校などで実施している。
講演では話し合えば他者を理解できること、「助けてくれる人がいる」と信じて動き出すこと、物事を解決しようとするには相談できる力が必要などと話す他、けんかやもめ事があったとき、仲直りのために編み出した「優しさ貯金ゲーム」の方法も伝授する。
玉城さんは「いじめ問題、子育てに対する周囲の理解不足、職場のあつれき、学校や会社、社会で生じる誤解やすれ違いなどで悩む人の解決の糸口となるかもしれません」とし「家族や地域に生きづらさを抱えている人がいたら、寄り添いや傾聴方法も話しますのでお越しください」と呼びかけている。
入場無料。フォームから申し込む。
問い合わせはfantas㈱(℡090・7041・5707)。