衛星データでインフラ監視 県とJAXAが共同実証へ

意見交換した宮﨑知事㊧と瀧口理事(JAXA提供)
意見交換した宮﨑知事㊧と瀧口理事(JAXA提供)

和歌山県と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、先進レーダ衛星「だいち4号」などのデータを活用し、老朽化が進むインフラの予防保全などの実現に向けた共同実証の検討を開始した。宮﨑泉知事とJAXAの瀧口太理事・第一宇宙技術部門長は20日、東京都内で連携の方向性について意見交換を実施。本年度中にも覚書を締結し、新年度以降の実証開始を目指す。

県とJAXAは2009年に協定を締結し、衛星データの利用により災害時の被害状況を把握する取り組みで連携を進めてきた。今回の共同実証により、平時の防災や産業振興などにも取り組みを発展させる方針。

県は面積の約4分の3を森林が占め、急峻(きゅうしゅん)な地形が多く、南北に長い半島の特性もあり、地上での点検だけでは困難な広域のインフラ管理を、衛星データの活用によって効率的、効果的に実施できることが期待される。

共同実証の具体的な対象候補には、道路や橋梁、ダムなどの重要インフラを監視し、変動や被災を早期に把握することや、地滑りなどの災害の予兆把握の他、森林の管理や資源量の把握といった脱炭素社会の実現に資する内容も挙げられている。

実証に利用されるのは、JAXAが運用する主に2基の衛星によるデータ。14年に打ち上げた「だいち2号」は、災害状況や森林分布の把握、地殻変動の解析などに用いられている。24年打ち上げの「だいち4号」は、天候や昼夜を問わず観測可能で、200㌔の観測幅により日本全域を最短2週間で観測できる機能を備え、地表の微細な変化を捉えることで、インフラの変化の兆候をいち早く把握できる可能性が期待されている。

宮﨑知事は「県の特色とJAXAの技術力を組み合わせた衛星データ活用は、持続可能な未来をつくる上で欠かせないインフラの予防保全や脱炭素の取り組み推進に加え、宇宙産業の振興にも資するものだ」、瀧口理事は「今や衛星データの有効性は広く認知され、宇宙活動の裾野も拡大している。和歌山との連携で得られる成果は、さらなる衛星利用の拡大に資するものになる」とそれぞれ期待を話している。