カイロス飛行中断 民間初の衛星軌道投入ならず

田原海水浴場の山陰から空へと上るカイロス3号機
田原海水浴場の山陰から空へと上るカイロス3号機

宇宙事業会社スペースワン㈱(東京都)の小型ロケット「カイロス」の3号機は5日午前11時10分、和歌山県串本町の「スペースポート紀伊」から打ち上げられたが、機体は回転し、約1分後に飛行中断措置が行われた。国内初となる民間単独での人工衛星の軌道投入は再挑戦を余儀なくされたが、近隣2カ所の公式見学場などでは、短時間ながらも大空を進んだカイロスの雄姿に感動の声が上がり、4号機での悲願の成功に期待を寄せた。

カイロスは、2024年3月13日の初号機は打ち上げから5・3秒後、12月18日の2号機は187秒後、内蔵の自律飛行安全システムが正常な経路を逸脱したと判断し、飛行を中断して自爆。

3号機は、当初予定の2月25日と3月1日の2回は気象条件による打ち上げ延期、4日は測位衛星からの受信状態が安定しないという理由で再々延期を余儀なくされたものの、機体に問題はないとされ、5日は成功に期待が高まっていたが、宇宙空間まで到達した2号機よりも短い時間での飛行中断となった。

カイロス3号機を見上げる来場者
カイロス3号機を見上げる来場者

田原海水浴場(串本町)と旧浦神小学校(那智勝浦町)の2カ所の公式見学場には、3度の延期にもかかわらず熱心なロケットファンが集まった。

田原海水浴場には約300人が訪れ、見学者は砂浜に臨む芝生に集まり、穏やかで程よい風が吹く晴天の下、カイロスをかたどったバルーンや旗などの応援グッズを手に打ち上げを待った。

予定通り午前11時10分に打ち上げられたカイロスが地響きのような音と共に北側の山陰から姿を現すと、会場は歓声に包まれ、来場者は白煙を上げて進むロケットの雄姿を見上げ、祈るように軌道を見つめた。

拍手や万歳の声も起こった一方、カイロスの軌道を示す白煙が回転してゆがんでいくことに気付いた人もおり、数分後には飛行中断措置が行われたとのアナウンスが流れた。

同海水浴場で記者団の取材に応じた田嶋勝正町長は「大変残念に思うが、打ち上げるごとにデータを積み上げ、次のステップに上がっていく。4号機に向けて町として全面的に協力していきたい」と述べた。

ロケット饅頭「そらのかけはし」などを開発し、同海水浴場の見学会に欠かさずブース出店してきた同町の和菓子店「串本儀平」の専務、丸山正雄さん(50)は「少しでも応援を盛り上げようと、毎回『次こそは』と信じて皆勤賞で店を出してきた。一緒に頑張ってきている思いがある。今回は成功したと思ったので残念だが、打ち上げに感動したことに変わりはない。会場のたくさんの人と思いも共有できた。成功するまで店を出し続けたい」と話した。

ロケットの折り紙を飛ばしてカイロスを応援する子どもたち
ロケットの折り紙を飛ばしてカイロスを応援する子どもたち