身近な春の野菜「きぬさや」

「きぬさや」を使ったサラダ
「きぬさや」を使ったサラダ

前号では、産地の郷土料理から全国的に親しまれるようになった「豆ごはん」の歴史を取り上げた。日本一の「うすいえんどう」の産地である和歌山県であるが、さやのまま食べられる「きぬさや」の栽培も盛ん。今週はきぬさやの魅力を紹介したい。

きぬさやは、若いさやを食用とする品種で、えんどう豆の一種。うすいえんどうなどと比べ、実が大きく生育せず、さやが薄いのが特徴。さや同士が擦れる音が衣擦れの音に似ていることからその名が付けられたという。

ハウス栽培により年間を通して出荷されるが旬は4月から6月にかけて。2019年の農水省統計によると、生産量第1位が鹿児島県(4850㌧)、第2位が愛知県(1200㌧)、第3位が福島県(1060㌧)、第4位が和歌山県(782㌧)、第5位が広島県(691㌧)。県内でも盛んに栽培されている。

食し方は、さやが柔らかく小型のきぬさやの筋を取ってからゆでる。それをちらし寿司や弁当の彩りとするか、和え物やサラダにするのもおすすめ。購入時は、全体が鮮やかな緑色で張りのあるものを選びたい。豆が大きくならず、外観からふくらみを感じない程度に薄いほうが食感に優れ、おいしくいただける。

きぬさやは家庭菜園の初心者にも人気の野菜。品種はさまざまだが、つるなしの品種は草丈が80㌢程度で、ネットを使わず支柱のみで育てられることから、容易にベランダでプランター栽培できる。秋に種をまき、春先から順次収穫できる。たくさん収穫できたときは下ゆでの上、冷凍保存がおすすめ。使いたいときに手軽に使え便利である。

えんどう豆の産地として、栽培に適した気候と郷土料理としての文化を持つ和歌山。ぜひ、身近な春の食材としてその魅力に触れてほしい。(次田尚弘/和歌山市)