宇都宮病院が新築移転 患者と職員の「生活の質向上」へ

病院のこれまでの常識を、医療法人久仁会・宇都宮病院(和歌山市鳴神、宇都宮宗久院長兼理事長)が鮮やかに塗り替える。6月1日に同敷地内に新築移転する病院は、一歩踏み入れればリゾートホテルさながら。極上の癒やし空間を追求しながら、リハビリに全国初のプロジェクションマッピングを取り入れるなど最新の医療機能を拡充。住民の声や現場の知恵を形にし、患者と職員双方の「生活の質の向上」を目指す。

同院は1970年に胃腸肛門外科を母体として誕生した。93年、宗久理事長が就任し、現在は内科、呼吸器科、循環器科、消化器科、整形外科、肛門科、麻酔科、放射線科、美容皮膚科・形成外科がある。さらに宇都宮越子副理事長を中心として運営するコミュニティスペース「なるコミ」は、地域連携の要だ。新築に際して昨年、ワークショップを開いて近隣住民の理想を設計に取り入れた。
新病院の正面玄関には、現代美術家・鎌谷徹太郎さんの絵画「五行巡環」と、これまでの「受付」から刷新した「FRONT」が来院者を迎える。日本製の組子細工や、「宇都宮ブルー」を基調とした洗練されたデザインが温かな印象を与えている。

階ごとに、東洋の「五行思想(木・火・土・金・水)」をテーマカラーに組み込んだ。2階と3階には病棟で、4人部屋から個室まで、全80床を配置した。落ち着きのある内装や、明るさ・プライバシーの両方を確保する部屋の仕切りが、入院患者に安心感を提供する。個室にはソファやシャワー、トイレを備え、入浴室を含むシャワーやドライヤーに、注目の美容ブランド・Refa(リファ)を導入。両階に設置した飲食できる面会スペースも、ラグジュアリーな空間に仕上げている。
医療と癒やしの新基準へ

全病室には、現場を支える看護師たちが自ら設計した収納棚を置いた。これまで手袋やエプロンなどの資材をカートで運んでいた作業効率が劇的に改善する。電子カルテのカートは元の場所に戻すだけで自動充電ができ、看護服には人気のルームウェアブランド、ジェラート・ピケを取り入れた。 リハビリ室には、全国初となるプロジェクションマッピングルームを設けた。壁面全面と天井に桜や海中の魚、花火といった四季の映像をダイナミックに投影。寝たきりの人もベッドで入室でき、体全体で刺激を受ける新時代の施設だ。さらに和室と洋室の「自宅」を再現したADL(日常生活動作)ルームでは、退院後の生活をイメージした実践的な訓練を可能にした。

2022年から始めた美容皮膚科・形成外科は、インバウンドなどに向け、待合のVIPルームを設けた。海南の漆器でもてなし、和歌山の特産も発信する。
内視鏡室には最新のAI内視鏡を導入し、米国の医師免許を持つ医師らによる、AIと高度な手技が融合した専門的検査が受けられる。同手術のための待合室にトイレ付きの完全パーソナルブースを備え、検査前後の受診者の不安解消に努める。
太陽光発電や蓄電設備を設置して防災設備も充実し、地域に安心を与えている。
全国に先駆けた新病院目指す

このたび6月1日から新病院で診療が開始できる運びとなりました。これもひとえに、地域の患者さま・連携先・普段から運営にご高配いただいております皆さま、そしてこの度建築に携わってくださいました方々のおかげでございます。この場を借りて感謝申し上げます。
新・宇都宮病院は「病院らしくない病院」をコンセプトに、白い壁をなるべく使わずまるでホテルのような内装や、AI内視鏡など最新医療機器、リハビリ室には五感を刺激するプロジェクションマッピングルームや自宅再現ルーム、看護師が設計したオーダー家具の設置、有田焼の食器に薬膳の日や金芽米・焼きたてパンなどの給食など、職員たちの叡智を活かした全国的にも新しく珍しい病院ができ上がりました。太陽光パネルや蓄電池の設置など、省エネと防災の視点も十分考えた設計になっております。
また、クラウドファンディングも行っており、温泉を活用した足湯やハワイアンガーデンを旧病院解体後に作る予定です。さらに6月13日と14日は「解体祭」も予定しております。
今後も、より質の高い医療を提供し、地域社会の発展に貢献できるよう、スタッフ一丸となって邁進する所存です。皆さまには、これまでと変わらぬご指導・ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。


