和歌山大空襲の紙芝居 和歌山市語り部クラブが制作

東山東小で初披露した語り部ら
東山東小で初披露した語り部ら

和歌山市内の観光名所でガイドをする和歌山市語り部クラブ(丸毛光明会長)は、1945年(昭和20)7月9日に起こった和歌山大空襲の体験談を基に、紙芝居「私は忘れない」を制作した。語り部の外畑典子さん(69)は「この紙芝居は、空襲を経験した人々から受け継いだ大切なバトン。これからもずっと語り伝えていきたい」と話している。

同会では、50代から80代までの約50人が和歌山城をはじめとする市内の観光地で活動している。昨年6月に市内で開かれた講演会で、会員の岸淵香澄さん(66)らが、和歌山大空襲を経験した上原ハツさん(93)の詩「私は忘れない」の朗読に感銘を受けたことがきっかけ。翌7月、和歌山城の天守閣で開いた月例の紙芝居会で、県立図書館から借りた資料を使い、初めて和歌山大空襲の読み聞かせをしたが、「自分たちの言葉でたくさんの人に伝えたい」とオリジナルの制作を開始した。8月、上原さんに取材を行い、過去の新聞から資料を集めた。文章から絵付けまで全てを会員で協力して手作りし、上原さんへの確認を経て、1年がかりで完成させた。

紙芝居では、空襲のあった日に上原さんが家族と逃げ惑いながら北島橋周辺から目撃した焼夷弾の雨、火の海となった市街地、川面や道にあふれる無数の遺体など、生き地獄と化したまちの様子を表現した。最後に、今なお世界で起こっている戦争について話し、人を思いやることの大切さを訴え、「命を捧げし同胞の 叫びしあの声を いつまでも忘れない 忘れない」という上原さんの詩で締めくくった。

7日、同市山東中の東山東小学校で初披露され、5人の語り部が5年生と6年生の計53人に読み聞かせた。熱のこもった語り口に、児童たちは真剣な表情で聞き入っていた。

6年生の岩橋蓮さんは「戦争がもたらした恐怖は一生忘れられないと分かったし、戦争を繰り返してはいけないと思った」、神谷莉以さんは「和歌山ですごいことが起こったんだと思った。物がなかった時代を知り、物を大切にしようと思う」と話していた。

岸淵さんは「和歌山で実際に起こった事実を知ってもらい、『自分さえよければよい』という気持ちではなく、仲間を大切にする人になってもらいたい」と話していた。

同会は紙芝居「私は忘れない」を、同市湊本町の市立博物館で9日午後3時~、8月1日1時半~、15日午前11時~披露する。所要時間は15分。入館料(一般・大学生100円、高校生以下無料)が必要。

児童たちに読み聞かせる岸淵さん㊧と外畑さん
児童たちに読み聞かせる岸淵さん㊧と外畑さん