しらすより大きい「かえりちりめん」

前号では、加工時の水分量が釜揚げしらすと異なる「ちりめん」の特徴を取り上げた。加工方法により呼び名が変わり、使用する料理や味わい、保存期間に違いが出るが、一般的にしらすといわれる「カタクチイワシ」のサイズによっても違いがある。今週はしらすよりもサイズが大きい「かえりちりめん(じゃこ)」を紹介したい。
かえりちりめんは、体長25㍉から40㍉程のカタクチイワシを指す。しらす(ちりめん)より大きく、いりこ(煮干し)より小さいサイズ。親魚である「イワシ」の姿に返(かえ)り始める時期であることが、その名の由来とされる。
体はイワシを思わせる銀色が出始め、食するとほど良い硬さを感じ、しっかりした歯応えと濃いうまみがにじみ出す。煮干しとなると強い苦みがあるが、そのような苦みは少なく食べやすい。
加工方法は釜揚げされたものを網に広げ、乾燥機や天日干しにより水分を抜く。前号で紹介のちりめんよりも長い時間をかけてしっかりと乾燥させ、煮干しの硬さになる手前で仕上げるという。
県内の加工業者では天日干しのみで乾燥させるところが多い。機械による乾燥よりもうまみが増し、太陽光を浴びることで殺菌効果が期待できるという。海辺にある加工業者の敷地内で天日干しにされる姿を見る機会が多い理由である。加工からの賞味期限は冷蔵保存により2週間から3週間程度。
食べ方としてはおやつ感覚でそのままいただくか、大根おろしなどを付けて。油を引いたフライパンで温めることで風味が増し、野菜などと炒めるのもお勧め。
同じ魚であってもそのサイズや加工方法によって、さまざまな楽しみ方があるカタクチイワシ。それぞれの魅力を感じてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)


