障害認定業務にAI活用 和歌山市とJinが連携協定

障害者が福祉サービスを利用する際に必要となる障害支援区分の認定調査などに人工知能(AI)を活用し、事務作業の効率化を図ろうと和歌山市は20日、障害福祉分野に特化したAIサービスを展開する㈱Jin(東京都品川区、前川友吾代表取締役CEO)と連携協定を締結した。認定調査から認定審査会資料作成までの一連の業務にAIを導入する取り組みは、政令指定都市・中核市で全国初となる。
市によると、認定の判断自体をAIに委ねるのではなく、あくまで調査員が行う判断を前提に、記録や整理、書類作成などの事務作業をAIで支援する。
具体的には、認定調査時に市民の同意を得た上で音声を録音し、同社の障害福祉AI「AURA」が会話内容を要約。国の規定に応じた約80の評価項目へ自動的に振り分けて落とし込むことで、従来は職員が行っていた手書きメモやその後の文字起こし、整理作業などが不要となる。聞き取りが不足している項目を赤字で示したり、情報の確度をパーセンテージで示して確認を促したりする機能も備えている。
審査会資料作成では、厚生労働省の規定に沿った様式になるようAIが補助する。さらに、公平な審査のために、個人の特定につながる氏名や出身校、通院履歴などの情報を職員が事前に黒塗りにしておく作業も、自動化できる。
これらの省力化により、職員が本来集中すべき確認や判断などの業務に時間を割ける他、調査時に当事者とのやり取りに集中できることから、コミュニケーションの質の向上も期待される。
市のシミュレーションによると、認定調査から審査会資料作成までの1件あたりの作業時間は、従来の約3時間半から約1時間50分へとほぼ半減する。年間の調査件数は約1200件を想定しており、合計約2000時間の削減効果が見込まれる。
締結式は市役所市長室で行われ、尾花正啓市長と同社の前川CEOが協定書に署名。同社と市を仲介した井上直樹市議も同席した。
尾花市長は「新たな認定調査の円滑化やスピード化に非常に貢献できる。画期的であり、全国に広がるようなモデルになってくるのではないか」と強い期待を示し、前川CEOは「AIが支援することで、職員の皆さまが市民への対応や判断により多くの時間を使える。協定はゴールではなく、実際の負担軽減と行政サービスの向上を責任を持って形にしていくスタートだと考えている」と話した。
市は今後、本年度中にシステムの実証実験を行い、改善点などの検証を進め、来年度の本格導入を目指す。

