資源回収や農作物販売で寄付 元校長の松本さん

和歌山市西庄の元公立小中学校長・松本勝治さん(66)が代表を務めるボランティアグループ「西脇の絆」の活動が地域で広がりを見せている。月2回の廃品回収や自家農園「絆ファーム」の野菜販売収益を、地元の西脇小学校や幼稚園などへ寄付する取り組み。2023年7月の発足以来、総寄付額は100万円を突破し、協力者も延べ3216人となった。「子どもたちのために地域の絆を深めたい」と、松本さんは精力的に活動している。
松本さんは阪南市や岬町の小中学校で37年間教職に就き、校長、教頭の管理職も務めて定年退職した。在職中、地域のボランティアやお年寄りたちが子どもたちのために温かい手を差し伸べてくれる姿を何度も目にしてきたという。「退職して自分が『地域のおっちゃん』になったとき、何ができるか。これまでお世話になった地域への恩返しとして、宝である子どもたちを支える活動を始めようと決めた」と松本さんは振り返る。
活動の二本柱は資源ごみ回収と農産物の販売。毎月第1・第2水曜の朝に西庄自治会館でアルミ缶や古紙を回収。軽トラックを自ら運転し、持ち込みが難しい高齢者らの自宅まで一軒一軒回収に行く。集めたアルミ缶などは専門業者に引き渡して換金し、最低限のガソリン代などを除いた金額を寄付に充てる。「アルミ缶や古紙は、単なるごみではなく地域の皆さんの『真心』。それを預かり、お金という形に変えて子どもたちに届けている感覚」と笑顔で話す。
自宅近くの畑「絆ファーム」では、ピーマンやナス、枝豆、落花生、そして手間のかかる珍しい「タケノコイモ(京イモ)」など多種多様な野菜を栽培。夏場は毎日の水やりや草抜きに汗を流す。もともとは母から引き継いだ畑だったが、自家消費し切れず食品ロスになることも多かった。スーパーの産直売り場で販売するようになってからは「食品ロスがなくなり、畑の維持費も賄え、安く買った地域の人も喜び、子どもたちの寄付にもなる」という「四方よし」の循環が生まれたという。農作業の赤字をアルミ缶の収益から補填(ほてん)することは一切せず、自身の労務費もゼロ。「野菜を買ってくれた人が喜んでくれたり、子どもたちの笑顔が見られたりするのが一番の活力」とほほ笑む。
集まった寄付金は、行政の教育予算だけでは迅速にカバーし切れない学校現場の「かゆいところに手が届く支援」として活用されている。各クラスの児童が話し合って必要な備品を買う費用に充てられた他、劣化していた西脇小学校の「卒業証書授与用の盆」を校章入りで新調して寄付したこともある。「学校予算は申請や手続きに時間がかかることも多い。急に壊れたものや、子どもたちが今すぐに必要としているものをタイムリーに届けてあげたい」と元校長ならではの視点で学校と連携を図る。
活動の報告書も毎月作成し、西脇第3自治会に配布するなど地域の人に活動を周知しているという。
現在は私立高校の広報や、趣味の釣りなども楽しみながら、多忙で充実した日々を送る松本さん。「目標は寄付額500万円、協力者1万人。お金以上に子どもたちを中心とした地域の絆を深めることが大切。学校現場で『困った』が起きたときの助けになれれば。軽トラックに乗れる間は、地道にこつこつと活動を続けていきたい」と意気込んでいる。



