アロチの「カラス族」一掃へ 和歌山県警

 改正された迷惑防止条例「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」の6月1日の施行を受けて、県警は和歌山市の歓楽街「アロチ」の健全化作戦に乗り出す。キャバクラや風俗案内所などへの客引きを行っている黒いスーツを身にまとった「カラス族」の一掃を目指す。

 これまでも客引きは風俗営業法などで禁止されていたが、対象が店舗経営者や従業員に限られており、複数の店舗を掛け持ちして紹介料を得る客引きは、取り締まり対象外だった。今回の改正で客引き自体が禁止されたことにより、警察の指導に従わない場合は中止命令違反で検挙できることになった。違反者には、50万円以下の罰金か6カ月以下の懲役などが科せられる。

 また、県公安委員会が定めたアロチ周辺の規制地域では、客引きの相手を待つ行為も禁止になるなど厳しい改正だ。その他、女性に対するスカウト行為の禁止や、配布を目的にした「ピンクビラ」の所持、公衆便所での「のぞき見」「卑わいな言動」などの禁止が新たに定められた。

 アロチ周辺で営業しているタクシー運転手によると、ここ3年ほどの間にカラス族は急激に増加した。アロチ周辺を歩くと、交差点ごとに客引きに声を掛けられることもあるという。また週末になると、車道でも構わずたむろし、接触事故の危険性も高いという。

 運転手は「店の前にカラス族にたむろされるので、場所を移動した飲食店もある。警察が客引きを規制してくれれば、健全なアロチになり、若い人も戻るんじゃないかな」とアロチの生まれ変わりに期待していた。