近大生物理工学部の学生22人 新宮市で支援活動

 台風12号で甚大な被害を受けた紀南地方を支援しようと、 紀の川市西三谷の近畿大学生物理工学部の学生ら22人はこのほど、 2日間の日程で、 同大学付属高校がある新宮市でボランティア活動を行った。 現地はまだ人手が足りない状態だったといい、 若い力が十分に発揮された。 学生4人に話を聞いた。

 話を聞いたのは、 大学院1回生の伊藤大介さん(22)、いずれも同学部4回生の部屋雄一さん(同)、和木田直希さん(同)、櫻井勇太さん(21)。それぞれテレビなどで被害の惨状を知り、「助けになりたい」 と自発的に参加した。

 同市熊野川町の川沿いにあった民家は、 川の氾濫により、 1階は全て飲み込まれ、 2階も腰の高さまで浸水していた。 学生らは、 水に漬かり使えなくなった家具の搬出と泥かきを行った。

 苦労したのは昔ながらの藁 (わら) でつくられた畳。 学生でも2人掛かりで作業しないと持ち上げられないほどに水を吸っていた。 また腐っていたため、 持とうとすると崩れる状態だった。

 階段は傾き、 2階から物を降ろすには危険で使えない状態。 学生らは、 やむなく窓から外に家具を放り投げて搬出した。 中には、 写真やアルバムなどもあったが、 住民は見ることができないと諦め、 廃棄を決めた。

 作業を終えると、 住民から 「夫婦2人で4日作業してもあかんのに、 みんなの協力で2時間で終わった。 ありがとう」 などと感謝の言葉を掛けられた。 また、 作業していた民家の隣の住民から、トイレや水を使わせてもらうなどの気遣いも受けた。

 学生らは作業を振り返り、 「浸水の範囲を想像すると巨大な湖ほどの大きさになり恐ろしくなった」 「テレビからでは伝わらない惨状があった」 「物資は足りているようだが、まだまだ人が足りない」 などと話した。

 また被災地の今後について、 「これから寒くなるので被災者の健康状態が心配」「心のケアなど精神面の支援も必要なのでは」 「住めなくなった人がまちから転出し、 活気がなくならないか心配」などの意見が出た。