陸前高田の流木でバイオリン

 東日本大震災で大きな被害を受けた陸前高田(岩手県)の流木で作られたバイオリンを、 和歌山市出身のバイオリニスト澤和樹さん(57)=東京芸術大学教授=が9月2日、 和歌山市民会館で演奏する。 被災者支援を目的に、 世界の1000人のバイオリニストがリレー演奏する 「千の音色でつなぐ絆」 プロジェクトで、 「チャリティーコンサート 『防災に想いを馳せて』 澤ファミリーと千里フィルの仲間たち」 で披露される。

 同プロジェクトは、 震災の犠牲者に鎮魂の祈りをささげ、 風化させず復興まで支援しようと、 澤さんを含む有志が 「命をつなぐ木魂(こだま)の会」を結成。ことし3月11日の追悼式で世界的バイオリニストのイブリー・ギトリスさんが演奏しスタートした。

 バイオリンは、 世界的な制作・修復家である中澤宗幸さんがガレキの中から選んだカエデや松の木で制作、 裏板には復興の象徴である陸前高田の一本松が描かれている。

 澤さんは 「鎮魂にふさわしい曲」 と、 バッハの 「G線上のアリア」 を演奏会の冒頭に献奏し、 アンコールでも別の曲を弾くという。

  「木そのものにいろんな方の思いがこもっています。 この楽器自体がインスピレーションを与えてくれると思う」 と話している。

 チャリティーコンサートは午後2時から。 澤さん(指揮)、 蓼沼恵美子さん(ピアノ)、 澤亜樹さん(バイオリン)、 千里フィルハーモニア・大阪が出演。 ベートーベンのピアノ協奏曲第4番やシベリウスのバイオリン協奏曲ニ短調などを演奏する。

 収益は台風12号災害の復興と、 今後の防災のために寄付される。 3000円。 当日券もある。 問い合わせは市民会館(℡073・432・1212)。