マンモス再生研究 近大・加藤教授シベリアへ

 細胞核を用いた研究で絶滅したマンモスの再生に取り組んでいる近畿大学生物理工学部先端技術総合研究所(海南市)の加藤博己教授が、和歌山市友田町のホテルグランヴィア和歌山で開かれた講演で、永久凍土の中から発見された約1万5000年前のマンモスのサンプルを日本に持ち帰るため、27日にもシベリアに出発することを報告した。加藤教授は「良い状態のマンモスのサンプルを持ち帰られることを期待している」と意気込んでいる。

 同大生物理工学部の公開講座「BOST Science Cafe」の中で報告した。同大学は、クローン研究で高い技術を持っており、学部生による国内最年少クローンマウス作製や、和牛のクローン子牛の誕生に成功するなどしており、マンモス再生研究も注目が集まっている。

 過去には、平成14年に北東シベリアのマクスノーハ川河岸でマンモスとみられる大腿骨や肉片、皮などのサンプルを回収し同大に持ち帰った。その後、細胞核のような組織を回収し、マウスの卵子に注入する段階まで実験が成功したが、サンプルの状態が悪いためか、研究が進展することはなかった。

 


講演する加藤教授

状態良く期待大 今回のサンプル 今回、持ち帰ることを予定しているマンモスのサンプルは、3年前に発掘されたものでユカマンモスという種類のメス。8歳まで生きていたと推測されている。現地の研究所でマイナス30度の状態で保存されており、筋肉の状態を調べてみると、生きていた当時をほうふつとさせる赤い部分が残っていて極めて良い状態。研究の進展に期待が高まる。

 会場には300人の一般受講者が集まり、加藤教授の話を興味深く聞いていた。阪南市の中学1年生、牛田悠介君(12)は「本当に生きているマンモスを見てみたいです。科学に興味を持ちました」と話していた。