脳出血乗り越え ジャズシンガーがCD発売

 約5年前に脳出血を患い、一時は発声が困難だった和歌山市のジャズシンガー・さつきさん(47)が30日、ミニCDアルバム「One and only 〈唯一無二〉」を発売する。同日午後4時から、同市紀三井寺の飲食店「デサフィナード」で発売記念ライブを開催。「声が出なかったことを思い出すたび、いま歌えている喜びを感じる。さまざまな病気と闘っている人をはじめ、全ての人が元気に、前向きになれる歌を届けたい」と力を込めている。

 脳出血を患った当初、右手足がまひし、声が出ない状態に。現在、まだまひは残るものの、懸命なリハビリを乗り越え、以前の声を取り戻しつつある。

 これまで東京を拠点にプロのジャズシンガーとして活動した他、ジャズが楽しめる多国籍料理店を経営するなど多方面で活躍。40歳の頃、結婚を機に和歌山に戻った。

 脳出血の発症から約1年後、リハビリに通っていた県立医科大学サテライト診療所の伊藤倫之医師から「前みたいに、歌おうよ」と声を掛けられたことが、歌手活動を再出発させるきっかけに。同所で夏恒例の「納涼コンサート」への出演を目指し、リハビリに励んだ。

 「過去に経験したことのない緊張感があった」と、納涼コンサートを振り返る。「テネシーワルツ」を歌い終えると緊張感が解け、涙が込み上げたという。以来、パーティーやチャリティー、ライブでの活動を少しずつ展開している。

 さつきさんは「これまではビジネスとして歌っていた部分が大きく、自分自身に対してストイックだった。でも今は楽しみながら歌えている」と音楽への思いの変化を語る。さつきさんの親友で放送作家の森本敦子さんは、「『大丈夫。怖くないよ』『さあ一緒に人生を楽しもう。恋の歌でも歌いながら』と、彼女の歌声は勇気付けてくれる」と話す。

 CDは1枚1500円。記念ライブには伊藤医師を含む医師によるクラシックグループ「ワカヤマ・メディカル・ユニバーシティ」、東京で共に活動したピアニスト・進藤陽悟さんが駆け付ける。

 CDなどについての問い合わせはデサフィナード(℡073・441・6166)または童夢ぽけっとの西坊さん(℡073・433・5392)へ。