初の生え抜き社長が誕生 加太菜園
ことし設立10周年を迎えた、カゴメ㈱とオリックス㈱が出資する和歌山市加太の大規模ハイテクトマト菜園「加太菜園」で本年度、創業以来初となる地元採用の社長が誕生した。社員とパートを合わせて毎日150人前後で運営する菜園の先頭に立つのが、4代目の峯英和社長(65)だ。カゴメグループ内の菜園でも、出向社員以外が社長を務めるのは初めてのケース。安心安全なトマトや生産性の追求、菜園の永続的発展など峯社長の経営手腕に託された。
同園の温室面積は、甲子園球場(約4万平方㍍)より広い5万平方㍍と広大。年間1500㌧のトマトを、土を使用せず養液栽培で育成している。
エアーシャワーや殺菌消毒を繰り返した後に、入ることができた温室内には、整然とトマトの棚が並んでいた。温室内では、女性パート職員らが忙しそうに真っ赤に色づいたトマトを収穫し、出荷作業に追われていた。収穫したトマトは、8割がカゴメを通して大型スーパーなどで販売されるが、残りは県内の大型スーパーでもPB(プライベートブランド)商品として販売されている。
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同菜園で収穫されるトマトは、全て生食用。傷物や形の悪い果実があれば、売り上げ減少に直結する。創業当初、良品のA級は、70~80%だったが、現在では90%の水準まで達している。峯社長は「菜園内で勤務する全員が同じ考えを共有することで、異変にも早く対応でき、生産性が上がった」と分析する。それらの努力により、2010年度から黒字化を達成した。現在年間、8億円を売り上げているという。
峯社長は、県土地開発公社に勤務していたが、早期退職制度を利用して退職後、同菜園の開業を知り一般採用で入社した。菜園管理の他、労務関係や出荷調整など総務全般をこなし運営の中枢で、業績アップに貢献した。
今後の目標については「菜園の規模を拡大できるように生産性を高めるとともに、地元採用の社長が今後も生まれるように礎を築きたい」と話している。
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同園では、毎週土曜日午前9時から、敷地内でカゴメの出荷期基準に満たないトマトを格安で販売している。「みずみずしく味がしっかりしている」と好評で、多い時では70~80人が行列を作るほど人気という。価格は市場価格の半額程度の1袋中玉7~8個入りで200円。問い合わせは同菜園(℡073・459・9094)。