コウノトリの誤射防止 紀の川の有害駆除中止

3年前から和歌山市に飛来している国の特別天然記念物コウノトリを守るため、18日から12月1日まで、同市の川辺橋から田井ノ瀬橋間の紀の川河川敷で、カワウやサギの有害駆除が中止されている。市の要請を紀ノ川漁協が受け入れたもので、この発表にコウノトリの愛好者から感謝の声が上がっている。

カワウやサギはこの時期、紀の川で産卵するアユを狙って捕食しているため、同漁協は10月13日から12月1日まで有害駆除の許可を受け、県猟友会和歌山支部に委託し、実施している。駆除中止は、コウノトリへの誤射防止のために決定。中止が発表された18日早朝にも、雄と雌ペアのコウノトリが同区間の河川敷で確認されている。
飛来当初にコウノトリを一目見てファンになり、追い続けているという同市船所の喫「BURFORD(バーフォード)」店主、土橋進さん(64)は「飛んでいるサギの群れの中にコウノトリが交じっていたこともあり、誤って撃ち落とされないか心配していた」とし、「漁協と市の判断には大変感謝している。この機会を通じて、全国的にも観光資源として位置付けられているコウノトリに関心を向けてもらいたい」と話している。
国内のコウノトリは昭和46年にいったん絶滅。その後、人工繁殖の取り組みなどにより、現在は82羽の生息が確認されている。
同市のコウノトリは平成24年、近年では初めて確認された。翌年には、市内で一度に6羽がいる姿も見られた。国内のコウノトリには個体番号を記した足輪が付けられており、どの地で生まれたかなどが分かるという。ファンらは市内の2羽に、「和歌山コウちゃん(雄)」「クミちゃん(雌)」などの愛称を付けて呼び、親しんでいる。

18日にも紀の川で姿が見られた(土橋さん撮影)

18日にも紀の川で姿が見られた(土橋さん撮影)