オール和歌山市ロケ 映画『ちょき』製作
和歌山市を舞台にした〝オール和歌山市ロケ〟の映画『ちょき』(製作=きのくに地域活性化協議会)の製作が進んでいる。映画やテレビドラマなどの撮影を誘致・支援する、和歌山市(観光課)のフィルムコミッション誘致作品。来秋の公開を目指しており、ヨーロッパやアジアの映画祭に出品予定で、海外への魅力発信にも期待が高まる。
ことし7月に設けられた、同市のロケ誘致支援補助金の対象作品。観光課によると、ここ十数年では、撮影が全て同市で行われる映画は初めてという。
メガホンを取るのは、若手新鋭の金井純一監督(32)。金井監督は平成24年に短編映画『転校生』が、札幌国際短編映画祭で最優秀監督賞、最優秀国内作品賞の2冠を達成。翌年『ゆるせない、逢いたい』で劇場長編映画デビューを飾り、国外の映画祭で高い評価を受けている。
今回の映画は、和歌山を盛り上げようと取り組む「きのくに地域活性化協議会」(志賀弘明会長)が製作。同市出身の前田和紀さん(51)らがプロデューサーを務める。
生まれ育ったまちを舞台にした映画をつくりたいと、前田さんが金井監督に持ち掛けて市内を案内。何度も足を運ぶうち、金井監督は人の温かさや風土に感化され、脚本が出来上がったという。
撮影は17日にスタート。10日間にわたり、島崎町のじゃんじゃん横丁を中心に磯の浦や和歌浦天満宮、ポルトヨーロッパなど十数カ所で行われた。
物語は、愛する妻を亡くした美容室の店主と、そこに髪を切りに訪れた盲目の少女のヒューマンラブストーリー。出演は増田璃子さん(19)、吉沢悠さん(37)ら。同市出身のモデル、本谷紗己さんも出演し、地元エキストラ約110人も参加。劇中では和歌山の地名がそのまま使われ、せりふも和歌山弁だ。
24日には昭和のレトロな雰囲気を漂わせる、じゃんじゃん横丁内の美容室を使って撮影が進められ、金井監督は「海も近くて美しい景色が撮れ、最高のロケーション。ここは、人と人の距離感が心地良く、映画を通して全国の人にまちの魅力を伝えたい」と話していた。
全国30カ所以上の映画館で公開を目指している。