粘りの好守も市和歌山9回に涙 センバツ

第88回選抜高校野球大会は4日目の23日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦3試合が行われ、第2試合に登場した市和歌山は南陽工(山口県)に0―6で敗れた。市和歌山は8回まで南陽工打線を無得点に抑えたが、最終回に6失点を喫し、初戦突破はならなかった。

南陽工 0 0 0 0 0 0 0 0 6 6
市和歌山 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

〔南〕重冨―藤本〔市〕赤羽、栗栖―岡本▽本塁打=笹部(南)▽2塁打=近間(南)山﨑、藪井(市)

市和歌山の先発はエースナンバーの赤羽。制球に苦しみ、幾度も得点圏に走者を背負う展開となったが、要所を締める投球でピンチを切り抜けた。7回には得点圏から安打を許したが、大野の好返球で本塁を踏ませなかった。しかし、最終回に連続死球で走者をためると、守備の乱れから先制点を献上。さらに本塁打を浴びるなど、この回に一挙6点を失った。打線は5回以降、毎回走者を得点圏へ進めたが、好機であと一本が遠く、好投を続ける赤羽を援護できなかった。

半田監督は「8回まで無失点で接戦に持ち込めたことに成長を感じるが、点を取れる時に取りきれなかった。接戦をするごとにチーム力は上がっていくが、こちらが崩れてしまってはいけない。夏は攻撃力がなければ勝てない。甲子園の雰囲気に、相手の流れに負けない力をつけ、自分たちの試合ができるチームにしたい」と話した。

気力で投げた144球 赤羽陸投手(17)

気力で投げ続けた。先発の赤羽は、9回途中までマウンドに上がり、144球の力投を見せた。初回には自身の最速140㌔を上回る143㌔を計測。制球に苦しみながらも、気持ちの入った投球を続けた。

だが、ことしに入り、練習試合でもここまで長いイニング数は投げてこなかった。疲労はたまり、7回を投げ終えた時点で、肘は上がらなくなってきていた。「しんどかったけど、心が折れるとダメだと思った」。後ろで守る仲間を信じ、仲間の顔を見る度に力を振り絞った。8回まで南陽工のスコアボードは0行進を続けた。
夢に見た大舞台だけに緊張はあった。試合序盤は球場の雰囲気にのまれ、直球が抜けるなどボール先行の投球が続いた。走者を背負う場面も目立ったが、仲間の好守に度々救われた。
最終回、2つの死球で走者を出すと、自身の悪送球で先制を許した。さらに2、3塁とピンチは続き、内角に投じたスライダーが甘くなり本塁打を献上。完投を目指していたが、あとアウト1つのところで栗栖に後を託した。
恩返しを胸に臨んだ甲子園は、まだ目的を遂げていない。「コントロールと球威を高め、今度こそ勝って恩返しがしたい」。果たせなかった目的を遂げるため、夏にまた帰ってくると力を込めた。

力投を見せた赤羽

力投を見せた赤羽