和歌の浦に新観光を 日本遺産活用協が設立

万葉の歌人が多くの和歌を残すなど古代から文化芸術を育んできた和歌山市、海南市に面する和歌浦湾一体のストーリーが「絶景の宝庫 和歌の浦」として日本遺産に認定されたことを受け、誘客促進や地域活性化に生かす方法を検討し、展開する「和歌の浦日本遺産活用推進協議会」が28日、設立された。

設立総会は和歌山市茶屋ノ丁の県自治会館で開かれ、県や県観光連盟、和歌山市、海南市、観光関係団体など構成する11機関の関係者ら約25人が出席。規約案や基本計画案、平成29年度文化芸術振興費補助金交付要望などを審議し、いずれも承認した。役員人事では、県商工観光労働部長、県観光連盟会長の山西毅治氏(58)が会長に選出された。

「絶景の宝庫 和歌の浦」のストーリーは、景勝地である和歌の浦が万葉の時代から和歌に詠まれ、奈良、平安時代にも多くの人々が訪れ、和歌の聖地として文化人らの憧れの地となったこと、戦国、江戸時代にかけても寺社の建立や紀州藩主による庭園の造営などが行われ、現代まで人々を魅了し続ける絶景が出来上がった歴史などを取り上げている。

同協議会は、日本遺産認定を和歌の浦地域における観光振興の絶好の機会と捉え、ストーリーを構成する文化財を中心に新たな観光ルートを形成し、効果的な情報発信により誘客を促進することを事業目的に掲げる。

事業として、ホームページの制作・運営管理、ロゴマーク・キャッチコピーの作成、日本遺産ガイドの養成、シンポジウムやウオークイベントの開催、体験型商品の開発、案内板・説明板の製作・設置などを行うことを確認した。

山西会長は「県を訪れた観光客に、さまざまな観光資源を楽しんでいただくことで滞在時間の延長を促進したい。誘客の促進を図ることに注力し、民間のビジネスの隆盛につながることを目指したい」と抱負を語り、和歌の浦観光協会の坂口宗徳会長(42)は「地域の観光協会だけでは資金的にも限りがあるが、協議会の補助金を活用し、思い切って大きくPRしていきたい」と期待を話していた。

同協議会の役員は次の皆さん。

会長=山西毅治▽副会長=尾花正啓(和歌山市長)、神出政巳(海南市長)▽監事=坂口宗徳(和歌の浦観光協会会長)、大江一美(海南市観光協会会長)

日本遺産の活用に向けて協議する出席者

日本遺産の活用に向けて協議する出席者