特殊詐欺被害の防止へ シンポで意見交換
和歌山弁護士会(山下俊治会長)は6日、県民文化会館(和歌山県和歌山市小松原通)で日弁連第61回人権擁護大会プレシンポジウム「特殊詐欺対策街ぐるみで被害防止を!」を開き、約70人が参加した。
開会にあたり、山下会長は「特殊詐欺は人権侵害の最たるもので、防止に全力で取り組んでいかなければならない」とあいさつ。県警本部生活安全部生活安全企画課の﨑口忠犯罪抑止総合対策室長は「特殊詐欺の被害は65歳以上の高齢者が多く、手口が巧妙化している」と特殊詐欺の現状や県警の取り組みを報告した。
和歌山弁護士会民事介入暴力及び非弁護士活動対策委員会委員長の田中博章弁護士は「自分は詐欺に引っかからないと思う人がほとんど。いざ引っかかると、なかなか人に相談できないことが多い。すぐにお金を渡さずに、本人に事情を何度も確認することが大事」と対策を示した。
パネルディスカッションでは、同弁護士会同委員会委員の山崎和成弁護士がコーディネーターを務め、﨑口犯罪抑止総合対策室長や、県消費生活センター消費生活相談員でNPO法人消費者サポートネット和歌山の赤井カホル理事長、同弁護士会同委員会委員の藤田隼輝弁護士がパネリストとして、それぞれの立場から意見交換を行った。
﨑口犯罪抑止総合対策室長は「〝きょう中に振り込まなければならない〟とあらゆる手を使って心理的に追い込んでくる。一人で考えず、気軽に警察に相談してほしい」、藤田弁護士は「経済的な被害だけでなく、精神的な被害も大きい。一度被害に遭うと他人を信じられなくなることもあるので、自分は正しいと思わず相談してほしい」、赤井理事長は「誰でもだまされることがあるという認識を持つことが詐欺から身を守る第一歩」と話した。
昨年度の特殊詐欺の認知件数は全国で約1万8000件、被害額は約390億3000万円で、県内でも95件あり、約2億1500万円の被害が報告されている。