和歌山市長選へ 立候補予定の2氏が討論
任期満了に伴う和歌山市長選(22日告示、29日投開票)を控え、立候補予定者2人による公開討論会が5日、同市小松原通の県民文化会館で開かれた。NPO法人わかやま市民自治ネットワークが主催。2選を目指す現職の尾花正啓氏(65)=東高松=と一般社団法人理事長の島久美子氏(62)=同=が出席し、約200人(主催者発表)が2人の意見や政策に耳を傾けた。
討論会では、市の課題と両者がアピール、質問したい項目をテーマに意見を発表。市の課題について、尾花氏は「若者の流出」、島氏は「福祉」と述べた。
カジノを含む統合型リゾート開発(IR)について、島氏は反対の立場を示し「市民の不安もあるのに、県に同意を求められた場合どうするのか」と質問。尾花氏はIRの経済効果が大きいとしながら、「市民の不安を解消し、安全のためにも外国人専用での誘致であれば賛成したい」と立場を示した。島氏は「7割の市民が不要、心配と答えている以上反対の姿勢を貫きたい。決めるなら住民投票」と述べ、尾花氏は「市は同意するかどうかの立場。将来を左右する大きな問題は議会で諮るべき」と述べた。
防災対策では、尾花氏が南海トラフ地震やゲリラ豪雨に対しハードとソフト両面の対策を質問。島氏は福祉避難施設もあるが、避難の流れや役割分担などシミュレーション強化の必要があるとした。
島氏は子育て環境について身近に保育所がなく、学童保育に入れない子どもがいることから働く母親を支える政策について聞いた。尾花氏は出産から一貫して支援できる包括支援センターを設置し、学童保育における待機児童も0(ゼロ)になったと報告。地域の声を聴きながら、公立の認定こども園化や子どもの医療費無償化のための財源確保の必要性を語った。
福祉支援については、尾花氏が地域住民や元気な高齢者が介護を地域で支えるコーディネーター制度を紹介し、必要な財源をどう確保するか質問。島氏は税金や国民健康保険料を払えない人のため、関係機関のエキスパートが支援する窓口設置の考えを示した。
産業では観光振興を中心に議論が展開され、島氏は一般的な観光地では受け入れが難しい障害者に特化した観光産業を提案。尾花氏は観光地周辺に飲食店がないことから名産や店舗を増やし、医療ツーリズムの可能性を提案した。
参加者からは防犯対策について質問が寄せられた。尾花氏は子ども見守り活動に対し行政の体制充実の必要があると述べ、防犯カメラ設置の補助や防犯灯の設置の取り組みを紹介した。島氏は見守り活動の高齢化を懸念し、関わる人の幅を広げていくこと、増えている空き家に対し、障害者のグループホーム不足などさまざまな問題とリンクして解決策を考えていけるのではと対策を示した。