化学GPで快挙 向陽高の中谷君、小坂さん
全国の高校生以下の生徒が化学の力を競う「化学グランプリ」で、和歌山県立向陽高校3年の中谷剛人君が県内初となる全国1位の大賞、2年の小坂舞莉亜さんが銀賞を受賞した。小坂さんは2019年にフランスで開かれる「国際化学オリンピック」の日本代表候補に選ばれた。
化学グランプリの選考は2段階で行われ、マークシート式の1次選考で成績上位の80人が全国から集い、1泊2日の2次選考に参加した。
2人は4年前、当時入部していた理科部の顧問の勧めで化学グランプリに挑戦。昨年初めて2次選考に進むことができたが、実験と考察、レポート作成を4時間で行う問題には時間が足りず、実験を終わらせるのに精いっぱいで、考察を深める時間が足りなかった。
ことしの2次選考は、蛍光物質を他の物質と組み合わせた時の反応を実験し、どんな条件でどんな発光をするかを考える問題。中谷君は昨年の経験を踏まえて化学を勉強し直し、時間をうまく使おうと心掛けた。小坂さんは、当日まで問題が分からないことから、特別な準備はせずに臨んだという。
2次選考は筑波大学筑波キャンパス(茨城県)で行われ、集まった他校の生徒とは当初、和気あいあいと交流していたが、実際に選考が始まると空気は緊張したものに一変。小坂さんは、電気を測る実験の際に機器の設定ミスで試験監督に次の実験の許可をもらえず、別の実験では部品が取れてしまい、慌てる場面もあった。中谷君も、測定機器の数値を0に設定するのを忘れて実験を進めてしまい、良い結果が出せなかったという。しかし2人とも昨年の経験があったからこそ今回も実験に臨むことができ、入賞につながったと振り返る。
中谷君は「最後の大会で集大成として1位を取れたのはうれしい。大学でも化学分野の研究を頑張りたい」、小坂さんは「昨年の銅賞以上の賞が取れてうれしかったが、同じ学年の子が金賞を取っているのを見ると少し悔しかった。年明けの日本代表選抜に向けて勉強に力を入れたい」と話した。