若者の献血が減少傾向 高校運動部員ら協力
病気などで輸血を必要とする人のために、献血による血液の確保が求められているが、年間を通して不足しがちで、冬場は特にその傾向が強まる。全国的に若年層の献血者数が年々減少し、和歌山県内では県赤十字血液センターが懸命に協力を呼び掛ける中、高校の運動部などを中心に若い世代の献血の輪が少しずつ広がりをみせている。
同センターによると、県内も若年層の献血者数は減少傾向が続いており、16~39歳は2007年度に1万9570人だったのが、17年度は1万3177人と、約3分の2まで減少している。年代別の献血率でみても、30代が6・1%、20代が5・2%、10代が4・7%(いずれも17年度)と低い。50~69歳だけは献血者数が増加し、全体の減少を押しとどめている現状だが、献血に協力できるのは69歳までのため、若年層への協力の呼び掛けは欠かせない。
特に冬場に血液が不足するのは、寒さで人々の外出が控えめになる他、風邪やインフルエンザの流行などの影響で献血者がさらに減少するため。その一方、寒さによる心筋梗塞などにより、医療機関から血液を求める依頼は増加するため、血液型に関係なく、不足は深刻になる。
今月18日夕方、部活動を終えた和歌山市立和歌山高校(六十谷)の野球部員たちが、学校近くの老人保健施設エスポワール(船所)で行われていた献血会場を訪れ、半田真一監督(38)を先頭に部員35人が献血バスの前に列をつくった。
部員全員が初めての献血とあって、少し緊張した様子だったが、スムーズに受け付けを済ませると、順に献血バスへ。半田監督に続き、部員では真っ先にバスから出てきた主将の米田航輝君(17)は「初めての献血だったので、どんなんだろう、痛いのかな、と少し不安でしたが、やってみるとなんてことなかったです。もしかしたら自分や家族、身近な人が助けてもらうことになるかもしれない。これからはプライベートでも協力したいと思います。部員みんなで良い経験ができました」と、記念品の卵のパックを手に笑顔。
半田監督は「いつも応援していただいているので、いろいろな場面で少しでも恩返しができればと思っています。子どもたちにとっても、奉仕の精神を学ぶ良いきっかけができて感謝しています」と献血への協力に意義を感じている。
同センター献血推進課の逢坂泰弘係長(41)は「これからの基盤となる若い方々の協力が必要不可欠です。学生の方にこのように協力、経験してもらい、献血がどのようなものかを分かってもらえることは本当にありがたい。現在、県内の高校野球部などを中心に若い世代の献血の輪が少しずつ広がっています。引き続き皆さまのご協力をよろしくお願いします」と呼び掛けていた。
献血は一年を通じてほぼ毎日行われており、市内ではJR和歌山駅前の新橘ビル5階(美園町)にある献血ルームで受け付けている他、献血バス2台が随時運行。運行スケジュールは同センターホームページ(https://www.bs.jrc.or.jp/kk/wakayama/)で案内している。