長期化で廃業の可能性1割 コロナ影響調査

新型コロナウイルスの企業活動への影響について、東京商工リサーチが行った第7回アンケート調査(7月28日~8月11日)で、「影響が継続している」と答えた和歌山県内企業が72・6%に達した。感染終息までの期間が長引いた場合、廃業を検討する可能性があるとした企業は県内が9・5%、全国が8・5%に上り、全国で30万社以上が廃業を検討している計算になり、中小企業の苦境が改めて浮き彫りになった。

調査はインターネットで実施し、全国の有効回答は1万3722社、県内は84社だった。

県内の企業活動への影響は、「影響が継続している」の72・6%(61社)を最多に、「今後出る可能性がある」が23・8%(20社)で続き、「影響が出たがすでに終息した」が2・4%(2社)、「影響はない」が1・2%(1社)。全国でも「影響が継続している」が78・1%で最も多く、依然として大半の企業が影響を受けている。

どのような影響が出ているか(複数回答可)は、「売上(来店者)が減少」が57・1%で最多、「商談の延期・中止」が39・3%、「出張の中止・延期」が36・9%で続いている。コロナ禍の長期化で、廃業による取引先の喪失なども発生している。

7月の売上高について、前年同月を「上回った」と答えた企業は12・7%(10社)にとどまり、「変わらない」が24・1%(19社)、「下回った」が63・3%(50社)となった。

8月以降に「ひと月でも売上高が前年同月比50%以下に落ち込む可能性がある」と回答した企業は33・3%(24社)。業種別では製造業が9社で最多となり、卸売業が4社、建設業、運輸業、サービス業他が各3社、小売業が2社だった。

政府や自治体、金融機関の各種給付金や融資などの支援策を利用した企業は44・6%(37社)で、今後利用する可能性があるとした企業は27・7%(23社)、利用予定はないとした企業も27・7%(23社)となった。

感染終息が長期化した場合に廃業を検討するとした企業のうち、検討時期を「1年以内」とした回答が44・9%。2016年の経済センサス活動調査による全国中小企業数は357万8176社であり、単純計算で、1年以内の廃業の危機に瀕している企業は13万5000社以上となる。

県内では、新型コロナ関連の倒産は1社(8月25日現在)にとどまっており、政府や自治体が矢継ぎ早に実行してきた資金繰り破綻を防ぐ施策が奏功しているとみられるが、同社は「コロナ禍が長期化すれば、さらなる支援策を検討する必要性も考えられる」としている。