苦しむ誰かの支えに 元アナ清水さん講演
紀の川市ピンクリボンキャンペーン推進イベントが5日、市役所南別館ホール田園で開かれた。元読売テレビアナウンサーの清水健さん(40)が講演し、乳がんで他界した妻との闘病生活を振り返るとともに、現在の心境を語った。
同イベントは、乳がんの早期発見、早期治療の重要性を市民に伝えようと開催。「大切な人の『想い』とともに」をテーマに、約400人が講演に耳を傾けた。
清水さんは、ことし1月末まで「関西情報ネットten.」のメーンキャスターとして活躍。昨年2月、妻・奈緒さんの一周忌に結婚生活や闘病生活などを記した『112日間のママ』を発行。同4月に一般社団法人清水健基金を設立し、著書や講演会の収益を入院施設の充実、がん撲滅に関する団体へ寄付している。同市での講演は今回が初めて。
清水さんは、妻との闘病生活を振り返り、今もなお、後悔していることを説明。「病がとことん憎い。悔しくて悔しくてたまらない」と何度も強調した上で、「この後悔を前向きに捉え、一歩ずつ、半歩ずつ進んでいきたい」と力を込めた。
闘病中にたくさんの人に支えられたことにもふれ、「少しでも力になれるのであれば、今度は誰かの支えになりたい」と、基金を設立した経緯などを紹介。今、病気で苦しんでいる人に対しては「どれだけ泣いてもいい」と促し、「希望に向かい、みんなで一緒に前へ進んでいこう」と呼び掛けた。最後には、「僕は大切な人を守ることができず、悲しみのどん底を経験した。でも、皆さんが温かく、想いを伝える場所をつくってくれた。僕は幸せ者です」と笑顔を見せ、胸の内を明かした清水さんの講演に、涙を流す参加者もいた。