創業60周年の南陽食品㈱ 新社長 北畑充香さん

 創業60周年のことし、 受託給食を行う南陽食品株式会社 (本社=和歌山市和歌浦南) の4代目社長に就任した北畑充香さん (38)。 食文化と健康を担う業務を引き継ぐと同時に、 代々社長が力を注いできた和歌浦の文化活動支援も受け継いだ。 充香社長に和歌浦への思い、 仕事への思いを聞いた。

 本社3階にある社長室。 三方に開けた窓からは、 東に名草山や長峰山脈、 北に奠供 (てんぐ) 山、 西には権現山や高津子山、 そして海が見える。

 充香社長は、 「ここ和歌浦で仕事をさせていただき、 会社は60年、 私は18年になりますが、 和歌浦は特別なところと感じます。 歴史と文化、 地域性があって人がつながっている。 だから頑張っている人を応援したくなるし、 そういうことを大事にしているところと思う」 とにこやかに話す。

 代々支援してきたのは紀州東照宮の例大祭 「和歌祭」 など。 初代はさらに和歌浦天満宮や秋葉山にいとこ3人で梅の木を植樹。 3代目は、 和歌祭を本来の和歌浦開催に戻して後継者育成に尽力するとともに、 和歌の浦精霊流し会や和歌の浦万葉薪能なども援助してきた。

 充香社長もこれらを継続。 ことしは新たに、 新和歌浦に顕彰碑がある山田猪三郎の顕彰事業も応援する。 そこには次世代への思いがあるという。

  「私自身子どもがいないので、 自分が携わることで次の世代に残し、 引き継いでもらえたら」 「猪三郎の人命救助の精神、 諦めない心を子どもたちに伝えたい」 「 (和歌祭などに) 参加する子どもたちの成長も楽しみつつの活動になってほしい」 と。

 もちろん、 社長としても多忙だ。 社員食堂や学生食堂、 福祉施設、 病院などで食事を提供する仕事は、 若者から高齢者までを対象とし、 規模もニーズも幅広い。 スポーツ選手やアレルギーを持つ人への個別対応が求められることもある細やかな仕事だ。

 充香社長は、 「初代から60年かけて頑張ってきたことの上に今があります。 そして会社を支えてくれているのは、 働いている人や給食を喜んでくださる方、 応援してくださる方々。 皆さんに助けていただきながら、 大切に引き継いでいきたい。 そして、 地元のために何か還元できればと思っています」 と、 笑顔できっぱりと話した。