「経典の美」を紹介 県立博物館企画展

和歌山市吹上の県立博物館で10月13日まで、 企画展 「経典の美」 が開かれている。 これまであまり注目されることのなかった法華経や大般若経の経典を紹介する企画。 このほど同館の竹中康彦学芸課長による展示解説が行われ、 来場者は装丁の美しさや時代により異なる書風を楽しんだ。

見返しに金泥で大きな葵(あおい)紋を描いた初公開の豪華な法華経(正住寺蔵)、 十一面観音立像の中に納められていた重要文化財の法華経(広利寺蔵)、 600巻全てを一人の僧が6~7年がかりで書写した大般若経(長保寺蔵)など、 出展品は奈良時代から江戸時代の36件73点。

米粒より小さな字で、 7万6300字を106行に書写した珍品 「細字法華経道興筆」 もあり、 来場者は驚きながら目を凝らしていた。

竹中学芸課長は、 江戸時代には神社でもお経を読み、 高野山の僧侶が神社のために書写したこと、 大般若経600巻は時代も場所もばらばらなものを集めるのが普通だったことなどを紹介。 「奈良時代の丁寧でしっかりとした字、 美しい字、 右下がりの字など書風の違いも楽しんで」 と話した。

旅行で来たという埼玉県の会社員剣持秀樹さん(25)は、 「奈良時代の経典を見る機会はなかなかないので興味深い」 と話していた。

展示解説は25日、 10月1日、 9日にも行う。 いずれも午後1時半から。 問い合わせは同館(℡073・436・8670)。

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