「地域学」を和歌山の学生にも 鳥取大学の取り組みから
鳥取県鳥取市。ここに「地域学」を教える大学がある。鳥取大学地域学部。地域政策・教育・文化・環境の4学科があり、各学科の学生数は約50名。
同学部は「地域学」を新しい学問と位置づけ、必修科目としている。地域の活動を通し、具体的に地域を知る。そして、自分で地域を調べ、理解を深める。フィールドワークの成果や外部のケーススタディを共有し、現実問題の解決に挑む。それが「地域学」だという。
地域環境学科を卒業し、大手保険会社に勤める細川智世さん(24)は、同大学教授で、和歌山県立医科大学非常勤講師でもある松本健治教授の指導のもと、鳥取県における子どもの発育に興味を持ち、他府県と比較した。その中で、誤った情報をうのみにした、望ましくないダイエットを行う子どもが多く、発育に影響を与えているという問題に気づいたという。解決には、人との違いを受け入れる意識を子どもに持たせる教育が有効であると仮説を立て、理科の教職免許を取得。熱心なフィールドワークを通し、人の生に興味を持った。それが基となり、現職に就いたという。学生にとって、最も身近な題材である地域に着目し、自ら問題意識を持ったことへの研究を没頭させる「地域学」の存在は、自分が進むべき社会への道しるべとなっている。
筆者も故郷の和歌山市で取り組んだ活動から、通信でかなえる地域活性化を自らの使命と感じ、現職に至っている。どの地域にも気づきの場があふれていると思う。
和歌山県出身の学生諸君。最も身近な地域の課題に目を向け、頭と体を動かすことで、自分なりの気づき、目的意識をもち、未来を切り開いてほしい。(次田尚弘/広島)