和歌山市内原の古梅さん句集刊行

 和歌山市内原の古梅敏彦さん (72) がこのほど、 初めての句集 『清水湧く』 を南海俳句会から出版した。 古梅さんは、 「支えてくださった方々のお陰です。 一句でも共感できる句を見い出していただけたら、 それに勝る幸せはありません」 と話している。

 古梅さんは現・紀の川市生まれ。 南海電鉄に勤務し、 労働運動を通じて 「南海俳句会」 主宰の柏本史和さんと出会った。 平成4年に同会に入会し、 翌年同氏主宰の俳句結社 『青空』 に所属した。
 句集は、 8年前に柏本さんが選句し題名も付けてくれたが、 柏本さんの急死によりそのままになっていたという。 今回、 自身の古希を区切りに、 平成6年から21年までの460句を 「草紅葉」 「西方浄土」 「風の盆」 「青蘆」 「竜の玉」 「時空」 「詩嚢」 「黄槿」 と年代順に収めた。

  掬はれて白魚と なる水の色

  水琴の音より生 れて竜の玉

  空海の時空を舞 うて雪螢

 俳人・桑島啓司さんは 「序にかえて」 で、 「海峡に果てし父なり敗戦忌」 など26句を取り上げて解説。 古梅さんの活動家・愛妻家・勉強家としての顔、 親孝行で孤独に耐え、 山を愛する誠実な人柄、 俳句への情熱を浮き彫りにしている。

 古梅さんは、 「平明な言葉で思いや事象を表現しました」 とし、 「出版後に大勢から 『この句が好きです』 『私もこういう事象を詠みたかったができなかった』 などと感想をいただいたのが一番うれしい」 と話す。

 現在、 南海俳句会事務局長、 紀伊山脈刊行会役員選者・運営委員、 現代俳句協会会員、 現代詩歌文学館振興会会員、 放送大学和歌山学習センター俳句会講師などを務める古梅さんは、 「文芸で和歌山振興のお役に立てれば」 と語っている。

 2011年5月3日発行、 定価1700円 (税別)。