海南の国家公務員宿舎が完成 津波避難ビル指定
近畿財務局和歌山財務事務所が建設を進めていた海南市日方の国家公務員宿舎 「海南合同宿舎」 が完成した。 鉄筋コンクリート6、 7階建ての2棟で、 9日には市の津波緊急避難ビル (両棟5階以上の共用部分、 屋上) に指定され、 市役所で指定看板授与式が行われた。 国家公務員宿舎が市町村の同指定を受けたのは和歌山市砂山南の和歌山合同宿舎に続き、 県内2カ所目。
同宿舎は昨年3月に着工した。東日本大震災を受け、津波災害時に屋上に避難できるようにするため外階段や安全手すりを設置した他、地震発生時の横揺れ・液状化対策として屋外避難通路部分の地盤を改良した。
1号棟は高さ約18㍍の6階建て、2号棟は約21㍍の7階建てで、戸数は計140戸(世帯型73、独身・単身型67)となっている。避難可能人数は1355人。同地区(約2400世帯)は海から約350㍍に位置し、海抜も約1・6㍍と低いため、避難先の確保が急務となっていた。近畿財務局では、周辺住民の一時避難先として同宿舎の利用を市に働き掛け実現した。
9日の屋上見学会に出席した新浜自治会の藤野精二会長(66)は「地区は海抜も低いため、今まで津波が来たら全滅かもと心配していた。非常にありがたい存在です」と話した。同会顧問の清水薫さん(77)は「防災面では安心です。宿舎を利用する人で地域もにぎわう」と期待している。今後は同宿舎を活用し、避難訓練なども行われるといい、近畿財務局は「国有財産を有効活用し、地域防災に貢献できれば」としている。
授与式には池田篤彦近畿財務局長、羽田裕信近畿財務局和歌山財務事務所長、市長ら7人が出席し、神出政巳市長から池田近畿財務局長へ津波緊急避難ビル指定看板が手渡された。看板は目立つところに2枚設置されるという。池田近畿財務局長は「宿舎が地域住民の安心安全の存在となれば光栄です。備えあればこそ。定期的に訓練して、いざという時に役立ててほしい」と話している。