点字の地図で和歌山の名所紹介
視覚障害者に楽しんでもらいたいと、 点字で紀三井寺などの名所や和歌山市の地図を作っている人がいる。 NPO法人和歌山盲ろう者友の会の高岸敏さん (63) =同市木ノ本=だ。 市街図を触り、 「 『柳通り』 ってここにあるんだ」 と納得する人もいれば、 名所の建物をイメージしながら3時間近く触っている人もいる。 高岸さんは 「喜んでもらえるとうれしい。 もっと作りたい」 と話している。
高岸さんは県立盲学校に十数年間勤務。 10年ほど前に開発された図形点訳パソコンソフト 「エーデル」 を使い、 数学の図形問題や社会の問題を作り始めた。
地図などを作り出したのは、 退職し、 同友の会に入って点字を教え始めてから。 「みんながどんなものを欲しがっているか分からないし、 一人ひとり触察能力が違うので、 本人に聞いて確かめながら作ってます」 と話す。
打ち上げ花火が大きく開いた瞬間だけ見えるという井戸英代さん(60) のためには、 上がる瞬間と上っていく様子、 最後に降り注ぐ様子などを点字で表現。 井戸さんは 「花火がどういうものかよく分かった」 と喜ぶ。
他、 普通は絵に点字文字を貼り付けるだけだが、 絵も点描で表した点訳絵本▽関わりがありながら、 どんな形が分からなかった 「身体障害者補助犬マーク」 ▽話題のキャラクター▽大阪の地下鉄路線図▽和歌山マリーナシティ、 銀閣寺、 宇治平等院の地図など。
地図では、 池や階段、 坂、 建物の形、 仏像のある位置などを描き、 紀伊風土記の丘の全景と部分、 重要文化財の住宅の間取り、 記号の説明などを冊子にまとめたものも作った。
これほど多彩なものを製作している人は全国で他にいないといい、 高岸さんは 「もっと作る人が増えてほしい」 と話している。
問い合わせは同会 (℡073・498・7756)。