4500人高台へ 木本地区で初の津波訓練

 津波に備えた大規模な避難訓練が24日、和歌山市の木本地区で行われ、住民ら約4500人が参加した。同地区防災会によると、市内でこれほど大規模な津波避難訓練は初めて。参加者は八幡台小学校や警察学校周辺など、海抜22㍍以上の高台4カ所に設けられた避難場所に避難した。

 訓練は同地区連合自治会や防災会、市消防団木本分団などが主催。命を第一に考え、「逃げる、助かる」を目的に同地区の全20自治会が一丸となって実施した。

 「東南海・南海地震の発生50分後に津波が押し寄せ、紀の川、土入川などが氾濫、さらに50分後には約7200世帯、約1万8000人が住む同地区のほとんどが水没する」との想定で行った。

 午前10時に津波発生を知らせる町内放送などが流され、参加者は消防団や警察などの指示に従って高台に向かって歩いた。避難場所に到着した参加者は、避難者救助カードに名前や自治会名を記入し、避難にかかった時間を確認した。

 木本小学校では日曜参観を行い、児童は教員や住民と一緒に避難した。和歌山ろうさい病院の災害時派遣医療チーム「DMAT」、和歌山北警察署、和歌山西消防署も訓練に協力した。

 同校6年2組の青木美優さん(12)は「人がいっぱいで思うように進めなかった」。家族4人で参加した古屋の塩治茂さん(61)は「避難に30分かかったが、荷物を持つことを考えるともっと時間がかかりそう。それぞれが何を持って避難するか話し合いたい」と話していた。

 同地区連合自治会顧問の木下又一さん(77)は「予想していた以上の参加者で関心の高さが分かった。今回の問題点を出し合い、実際の避難に役立つようにしていきたい。また、より現実的な訓練が必要ということを広く発信していきたい」と話している。