西庄の柿原さんに絵画部賞 新制作展


 和歌山市西庄の洋画家・柿原康伸さん(75)が、 1日まで東京の国立新美術館で開かれていた第76回新制作展 (新制作協会主催) で 「絵画部賞」 を受賞した。 作品は2㍍30㌢四方の大作 「港の休日」。 厳しい審査で知られる同協会展での受賞に、 柿原さんは 「何よりも、 見た方々がすごくほめてくれたのがうれしい」 と笑顔で話している。

 柿原さんは新制作協会協友で日本美術家連盟会員、 県美術家協会会員。 昭和49年に大阪市立美術館付設美術研究所に入り、 51年第40回新制作展に初出品で初入選。 途中病気のため8年間休んだが、 入選は25回を数える。

 さらに関西新制作展では関西新作家賞(2回)や関西新制作賞を受賞し、 10年前からは関西新制作審査員を務める。また、 近鉄百貨店阿倍野本店で同店企画の個展を2回開くなど高く評価されてきた。 そんな柿原さんにとっても東京の新制作展入賞は初めてだ。

 新制作協会は昭和11年、 小磯良平や猪熊弦一郎らが反アカデミック、 新芸術を掲げて創立した全国的美術団体。 絵画部と彫刻部、 スペースデザイン部があり、 最高賞の 「新制作協会賞」 は約40年前から出ていないという厳しい審査で知られる。

 今回も絵画部出品作1040点中、 入賞は新作家賞5人、 損保ジャパン美術財団賞1人、 絵画部賞7人だけ。 柿原さんは 「どんなに上手でも他の人と似てたらだめです」 と話す。

 作品 「港の休日」 は、 絵の具を厚く塗り重ねたマチエールと、 赤や青を重ねた黒の美しさが魅力。 さびた船が停泊し、 汚れた工場が建ち並ぶ風景だが、 工場やタンク上で羽根を休める十数羽の白い鳥がほっとした雰囲気を醸し出している。

 全精力を注いで仕上げた柿原さんは 「1カ月はほとんど描けない」 とほほ笑み、 「来年はこれに負けない絵を求められる。 気を緩めず、 でもあせらずにゆっくりとこれからも頑張っていきます」 と話している。 新制作展京都展が16~28日に京都市美術館で開かれ、 柿原さんの作品も展示される。