植樹事業の補助金不正 1500万円返還命じる 和歌山県
県の 「紀の国森づくり基金」 などを活用した植樹事業で、 元田辺市議が関係する8団体が補助金を不正受給していた疑惑について県は26日、 同日付で交付決定の一部を取り消し、 総額1494万円の返還を命じたと発表した。
元市議を近く詐欺罪で告訴する方針も示した。
県が7月から進めてきた調査の結果を増谷行紀農林水産部長が明らかにした。
同基金と 「緑の募金」 による植樹事業で平成19~23年度の5年間、 宮田政敏元市議が関係するNPO法人など8団体は23件、 総額3880万円の補助金を受給。 苗木の購入先とされる田辺市内の福祉施設の領収書と、 実際に施設が受け取っていた金額が異なり、 差額の使途が不明となっていた。
今回の調査で、 福祉施設の領収書は宮田元市議が作成し、 押印を依頼したことが判明。 同施設には単価200円の計算で支払ったものを、 単価約450円だったように偽装し、 不当な利益を得たとしている。 県は目的外使用と判断した分の返還を命じた。
宮田元市議は不正受給分も植樹事業に使用したと主張しているが、 今回の調査では使途の全ては確認できていない。
不正が発覚した事業には、 実施場所が隣接する同様の提案が複数含まれ、 審査段階で一部の委員から懸念の表明があるなどしたが、 採択に至った経緯がある。 増谷部長は 「現在の制度を徹底的に検証し、 必要な見直しを行う」 と述べた。
今回の不正を受け県は、 事業を担当する森林整備課長と、 管理監督責任者である増谷部長を厳重注意処分とした。