「わが友、三島由紀夫」 英国人語る

 ロンドンタイムズ東京支局長などを務めた経済ジャーナリスト、 ヘンリー・スコット・ストークスさん (74) の講演 「わが友、 三島由紀夫を語る」 が21日、 和歌山市野崎の緑風舎で開かれた。 和歌山商工会議所と岡畑興産が共催。 集まった50人の経営者らを前に、 ストークスさんは 「三島は精神的なクーデターを起こしたかった」 などと語った。

 三島由起夫が東京・市ケ谷の陸上自衛隊東部方面総監部総監室で割腹自殺したのは昭和45年11月25日。

 死の直前まで親しい友人だったストークスさんは 「威厳とエネルギーに満ちあふれ、 そのエネルギーを制御できる人。当時のどんな日本人より存在感があった。 素晴らしい頭脳の持ち主で誠実で真面目。 締め切りは必ず守った」 と三島の素顔を紹介。

  「当時は左翼学生による反安保の時代。 三島は反アメリカ主義ではなかったが、 日本は自分の脚で自立しなければならない、 日本において成されるべきことが成されていない、と考えていた」 と話した。

 また、 自決の約50日前に三島から受け取った手紙で、 自殺することが分かった▽三島の私設軍隊 「楯の会」 の軍事訓練を取材報道したのはスタークスさん一人で、 「自分のことを真面目に取り上げたのは君の新聞が初めて」 と言われた▽楯の会は、 三島が自決を遂げるための道具だったなどと話した。

 歴史の目撃者の生の声に会場は聴き入り、 自決の数カ月前に三島が書いた言葉 「これからの日本はだめになるだろう」などについて熱心な質問が相次いだ。