57年の歴史に幕 和歌山で最後の個人映画館
県内最後の個人映画館として営業していた和歌山市松江北の㈱松栄劇場 (中村安友社長) が28日、 同日の上映をもって閉館し、 約57年の歴史に幕を下ろした。
同館は昭和31年開館。 地区内の住友金属工業㈱和歌山製鉄所 (現・新日鐵住金㈱和歌山製鉄所) の繁栄とともに繁盛した。 創業当時は、 石原裕次郎主演映画などを上映していたが、 昭和46年ごろから映画制作会社の日活㈱が成人映画制作にシフトしてから、 成人映画の劇場として親しまれてきた。
閉館の理由は、 デジタル化の波に伴い大手フィルム会社が映画フィルム生産の中止を決め、 同劇場にデジタル化導入が迫られたこと。 社会環境の変化により来館者が年々減少する中、 根強いファンに支えられてて営業を続けていたが将来性を考え設備投資を断念したという。 現在の建物は取り壊す予定。
祖父創業で3代目の中村社長 (54) は 「昔は個人経営の劇場がたくさんあった中で、 最後の劇場として続けてこられたのもお客さんのおかげです。 感謝しています」 と述べ、 閉館の日を迎えた。