メタンハイドレート研究、青山夫妻が講演

 次世代エネルギー資源として注目される「メタンハイドレート」研究の第一人者、独立総合研究所の青山千春博士と、夫で同研究所社長の繁晴さん夫妻による講演会が10日、和歌山市の宮脇書店和歌山店で開かれ、県近海は豊富な存在の可能性がある「希望の海域」であることなどを紹介した。

 夫妻の新著『希望の現場 メタンハイドレート』(ワニブックス)の出版を記念する企画で、約100人が来場し、熱心に耳を傾けた。

 千春さんは、メタンハイドレートの存在を示す、海中に溶け出したガスの泡(メタンプルーム)を魚群探知機で見つけ出す簡便で安価な調査方法の特許を持ち、日本海での調査の他、ことし1月には県の委託を受け、すさみ町沖で予備調査を行っている。

 調査結果について千春さんは、県の漁業調査船の魚群探知機が老朽化し、十分なデータが得られなかったとしながらも「海底の地質や地形を見ると、県西側の紀伊水道にかつてメタンハイドレートが多くあった痕跡があり、よく調べればその下にあるかもしれない。(東側の)新宮沖は国が調査している海域に近く、メタンハイドレートがたくさんある。とても希望のある海域だ」と語った。

 さらに、県が魚群探知機を新しくする今秋以降、千春さんは県沖で再調査を行う予定を紹介した。

 繁晴さんは、メタンハイドレート開発の意義について「今まで日本の産業にあり得なかった、自分で資源を持って日本で使うだけでなく、世界に安く出していくことにより、資源をめぐる戦争を避けられる」と重要性を強調。さらに「資源産業は必ず雇用を生む。日本全体のパイが大きくなれば、和歌山にも必ず恩恵が来る」と話した。