紀伊半島大水害から2年 プレDC、頑張る和歌山を発信

 紀伊半島大水害から間もなく2年。県では道路や河川など公共土木施設の復旧に取り組み、昨年度末で被災箇所の94・5%の復旧が完了したという。

 8月上旬、筆者は県南部の被災地を訪れた。熊野川沿いを走る国道168号線は、熊野川の洪水により甚大な被害を受け、今もなお復旧作業が続いている。

 国道のすぐ脇にある「白見の滝」は落差15㍍を誇るきれいな白滝であったが、現在は大きな岩石や土砂でそのほとんどが埋まり、以前の豊かな情景を見る影もない。熊野川の洪水を知る人は、「電信柱の上部まで熊野川の水が溢れた。流されてきた自動車が近くの橋の欄干に当たる音が響き、恐ろしかった」という。

 確かに滝の近くにある「道の駅瀞峡街道・熊野川」の案内標識の端(右下)は折れ曲がり、当時、その高さまで水に浸かったことが明らかだ。懸命な復旧作業により施設の面では不自由を感じさせないほどにまで回復しているが、所々に残る爪痕は当時のつらい記憶を伝え続けている。

 観光客の減少を回復できていないことも課題として残る。県は来年「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産登録され10年を迎えるのを前に、9月14日から12月13日までJRグループ6社と連携し「プレ和歌山デスティネーションキャンペーン(DC)」を開催。大水害で減少した観光客数の回復とさらなる魅力発信を目指す。

 現地では10月から11月にかけ、熊野三山を舞台にした琴の演奏や狂言の披露や講演会が開催されるなど、イベントが盛りだくさん。頑張る和歌山を全国に発信したい。   (次田尚弘/和歌山)