農業総研/及川CEO 「優れた起業家」和歌山から初選出
優れた起業家を表彰する「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2013ジャパン」チャレンジング・スピリット部門のファイナリストに、和歌山市黒田の㈱農業総合研究所、代表取締役CEOの及川智正氏(39)が選ばれた。新日本有限責任監査法人が主催する、ことしで13年目の起業家表彰制度で、県内からの選出は初。
同制度は、上場企業やそれに準ずる規模を持ち、グローバルに事業展開する起業家対象の「ナショナル・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」▽成長段階の起業家対象の「アクセラレーティング」▽創業間もない起業家対象の「チャレンジング・スピリット」――の3部門。創造性・革新性、優位性・成長性、国際性などを審査し、部門ごとにふさわしい起業家を「ファイナリスト」として選出。最終的に選ばれた日本代表1人が世界大会に参加する。
本年度は全国7ブロックから150人のエントリーがあり、ファイナリストに計13人が選ばれた。主催団体によると、同社は革新性の高さが評価された。
都会に農産物直売所
同社は平成19年に設立、東京、大阪に営業所を持つ。新鮮な農産物を求める都心部の消費者のニーズを捉え、地方に多い農産物の直売所を都市部のスーパーなどに設ける「都会の直売所」を中心に事業を展開。現在、埼玉から沖縄まで30カ所に提携農家が農産物をいったん持ち込む集荷拠点があり、提携農家は約3000人にまで拡大。持ち込まれた農産物は翌日、スーパーなど全国200店舗に並ぶ。
集荷拠点では、農家自身が出荷先や価格を決めることができ、都心部の消費者は遠くまで足を伸ばさなくても新鮮な農産物を手に入れることができる。また、生産者には消費者の「ありがとう」や「おいしかった」の声とともに、売り上げや売れ筋などの情報も提供。自分が手掛けた農産物がどこで、どんな人に販売されているかを知りたい生産者と、誰が作っているかを知りたい消費者・販売店をつなぐ仕組みを構築した。
及川氏は就農や八百屋を営んだ経験も持つ。「農業で表彰を受け、和歌山から都心の会社と戦えることも証明できた」と話し、「日本や世界の人の“胃袋と心を満たす”農業の確立が不可欠。そのためには農業をなくしてはならない。一人ではできることではない。多くの共感してもらえる仲間をつくり、農業が発展できる仕組みをつくり出していきたい」と意気込みを見せている。