浸水想定区間拡大、津波対策進む JR紀勢線

 昨年3月に県が発表した浸水の新想定に合わせて、JR西日本和歌山支社は、沿岸部を多く通る紀勢線(総延長約200㌔)の浸水区間の見直しを行い、これまでの21区間(21・7㌔)から約3倍の69区間(73・5㌔)にまで範囲を広げた。県の新想定では、串本、那智勝浦、太地の各町では、5分以内に10㍍の津波が押し寄せるとされるなど素早い避難対応が必要とされている。同社は今後、新想定に合わせた対策や訓練を進めていく考え。

 同社によると、現在行っている対策として同路線の浸水区域には本年度中にも、起点と終点を示す看板を設置。走行中に大地震が発生して緊急停止した場合、電車から降りた乗客が浸水区域内に入ったのか、出たのかが一目で分かるようにする。避難方向の矢印標示は、これまでの赤と緑から見直し、迫る津波をイメージした青と白を採用した。

 線路からの避難先に向かう出口については、来年度中をめどに避難場所を記載した看板を設置する。

 その他、ハード面対策では、トンネル耐震補強や2カ所に緊急停車用の降車台の建設、6カ所に避難階段、車両に避難用はしごの追加整備を進める。

 ソフト面対策では、GPS付きスマホを利用し、地震などで緊急停車した場合、運転手が現在自分がいる場所の把握や、避難場所などが一目で分かるアプリを開発し、乗務員に携帯させている。

 同社は「ハード、ソフトの両面から、とにかくお客さまに円滑に避難していただくために対策を講じていきたい」と話している。