「根上がり松」復活へ 和歌川河川公園に植樹
和歌山市の高松地区に「根上がり松」を復活させようと、高松連合自治会(石井太郎会長)や地元住民、有志らによる「根上がり松を復興する会」(長坂隆司会長)が発足。和歌川河川公園内に根上がり松を成形するための高さ約1㍍20㌢のやぐら3基を作り、それぞれに約60㌢の松の苗を植樹した。
江戸時代の様子を描いた「紀伊国名所図会」によると、かつて和歌山城追廻門から紀州東照宮までの街道は松並木が続いていた。高松地区は街道の中間部に位置しており、休憩所「高松茶屋」では松の根約3㍍が地上に出た根上がり松が幾つもあり、有名だった。
その後、高松の根が上がり松群は天然記念物に指定されたが全て枯死。大正13年には松群の中の「鶴之松」の根1本が玉津島神社の境内に移され、枯死状態だが現在も見ることができる。
植樹は水軒堤防の再生に取り組む「水軒の浜に松を植える会」の協力を得て、実施。同市明王寺から伐採した竹を使ってやぐらを組み、その中に水軒の砂を入れ、譲り受けた松の苗を植えた。同公園にはソメイヨシノやカンヒザクラなど7種の桜が集まる高松地区のシンボル「7色桜」があり、第2のシンボルとして今後は会員や地元住民らで剪定(せんてい)や害虫駆除などの世話を行い、成長を見守る。
松の根がやぐらの高さ1㍍20㍍に成長する頃に、やぐらを撤去し、根を出す。やぐらの撤去までに約10年を見ており、石井会長は「高松の象徴でもある根上がり松をどうにか復活させ、今の若い子たちに伝えて、知ってもらいたい」。長坂会長は「高松のシンボルをつくり、地域の歴史、文化が長く続く愛される場所にしたい」と話していた。