特産桃のジェラート店、26日オープン 紀の川市
桃が特産の紀の川市桃山町で26日、規格外で販売できない桃などを活用したイタリアンジェラート店「藤桃庵(とうとうあん)」がオープンする。桃農家の籔本畑下農園が運営。こだわりを持って作られた作物を使った6種類のジェラートが並ぶ。同園3代目の籔本周也さん(34)は、「いろいろな人の協力があって完成した。人と人のつながりを大切に、地域の農業を盛り上げていければ」と話している。
籔本さんは妻・梓さん(37)のアイデアで7年前から、商品にならない作物をジャムやジェラートに加工し、販売している。ジャムは梓さんのお手製。ジェラートは以前は加工業者に委託していたが、他の農家の加工にも協力できればと、小ロットでの試作・生産ができる自家加工場を造り、店を併設することになった。
木の温もりのある店内には、周也さんが育てた桃の実がたっぷり入った「桃みるく」、青森の木村秋則さんの「奇跡のりんご」を使った「奇跡のりんごのソルベ」、地元の県オリジナルイチゴ「まりひめ」を使った「いちごのソルベ」、玄米を使った「グレインミルク」などが並ぶ。
周也さんは「一人でもたくさんの人に笑顔になってもらえるような愛情たっぷりのジェラートを作りたいです」、梓さんは「知恵と工夫でみんなに喜んでもらえるレシピを開発していきます」と話している。
開店は午前10時~午後4時(水曜定休日)。ジェラートは1個350円(120㍉㍑、税抜き)~。住所は同町元901。問い合わせは同店(℡0736・66・8475)へ。
周也さんは実家の桃農家を9年前に継いだ。「桃の生命力だけで、自然なかたちで育てたい」と、平成19年から肥料を使わず、農薬も以前より9割減らし、下草を生やしたまま作物を作る「草生(そうせい)栽培」を始めた。現在、10㌶の桃畑で「白鳳」「まさひめ」など7種類を栽培。完熟寸前まで待って収穫する。実は小ぶりだが味が凝縮されているのが特長だ。
同園では年間3万5000個の桃を収穫する。農薬を減らすと害虫などで、加工品に回す量が増える。梓さんは「自分で作ったものは自分で売ろう」と、規格外の桃と国産の粗糖を使ってジャムを開発。インターネットで販売したのが人気を呼んだ。
その後、加工業者の協力を得て「桃みるく」も誕生し、新たな販路を開拓していった。周也さんは「今は兼業だけれど、いつか専業で農業ができるように頑張っていきたい」と話している。