需要拡大目指し 若手畳職人が活動
千年を越える歴史ある日本の伝統文化「畳」――。住宅環境がフローリング主体へと変化し、「和室」が姿を消しつつあることなど、日本人の畳離れにより国内の需要は減少している。原材料のイ草も約7割を輸入に頼るなど、畳業界には課題が山積しているが、そうした中、畳の需要を増やし、業界を盛り上げようとする動きが和歌山市内で始まっている。
同市には畳店が約30社あり、うち半数以上の経営者が60歳を超え、後継者が見つからない問題も抱えている。イ草を生産する農家でも同様の問題が起こっている。国内生産量の約95%を占める熊本県では、平成元年に6000軒あった農家が昨年には10分の1の約600軒まで減少している。このまま減少が進めば、国内産のイ草も不足の一途をたどることになる。
和歌山市北野の畳店「和工房」の代表・福田剛さん(34)は、同業者や農家と連携し、畳の良さを広めるための活動を始めている。若い職人らに声を掛け、今月17日には、市内の畳店6社と「パワフル畳店会」を立ち上げた。各店が通常の仕事で手伝いや協力するところから、畳の需要拡大に向けた活動へと発展させたい思いがある。
福田さんは20歳の時に畳職人の道に入った。技術や知識を学ぶ中で、リラックス効果や空気清浄の役目など畳の良さを実感し、「日本文化を絶やしてはならない。次世代が『畳屋になりたい』と思ってもらえるにはどうすればいいか」と考えるようになったという。そんな思いを伝え、活動を進めるうちに、ベテランの畳職人からも賛同の声が上がりはじめているという。
福田さんは「日本一愛される畳屋になる」との自身の目標も持っており、「業界みんなで力を合わせて畳の人気を高めていきたい」と力を込めている。