加太の魅力を見直す 東大生が調査

漁港まち・和歌山市加太の魅力を見直し、住みよいまちづくりにつなげようと、東京大学の研究者と学生ら14人が1~5の5日間、加太のまちの構造などを調査した。加太総合交流センターでは地元住民参加型のワークショップを開き、調査した内容を住民に伝え、意見交換した。

訪れたのは、建築や都市デザインに取り組む、同大の川添善行准教授(35)の研究室で、民間企業と協力しながら、地域活性化と創造的まちづくりを目的に調査。学生は自転車や徒歩で加太を回り、住民に聞き取りを行い、建造物の特質などを調べた。

ワークショップは3日に開かれ、住民ら約60人が参加。学生は5班に分かれ、それぞれ調べた内容を発表した。

「加太にはいくつもの井戸が存在する」「瓦の色がまばらなのは珍しい」などの学生の発表に、地元住民からは驚きの声も。加太地区連合自治会の尾家賢司会長(77)は「新しい加太を見つけたように思う。こんなにたくさん井戸があるなら、防災に生かせるのではないか」と話した。

他にも、山側と海側の町並み、交流が盛んな場所、空き地利用などについても報告。川添准教授は「加太の道や地形はきれい。これまでの加太の骨格を生かしながら、21世紀の加太を提案できれば」と話していた。

学生たちは年内にもう一度加太を訪れ、今後のまちづくりについて住民に提案する予定。

【住民の手でまちづくり】

前日の2日には、スマートコミュニティ(SC)について理解を深める講演会を加太小学校で開き、住民ら約100人が参加した。

SCは太陽光などの再生可能エネルギー発電設備の整備を促進し、情報通信技術(ICT)を活用して社会全体でエネルギーを効率的に賢く使う地域社会。加太では経済産業省の補助金を受け、SC化の可能性を検証している。

この日は和歌山社会経済研究所の木下雅夫常務理事、川添准教授、同研究室の原裕介特任助教が講演を行い、SCの概要や、同大の他地域での活動などを紹介した。

講演後、住民女性が「(テレビの人気リフォーム番組のように)完成後、みんなが良かったと思える計画でしょうか」と質問。原特任助教は「番組は匠が全てつくってくれるが、まちは自分たちでつくるもの」と協力を呼び掛けた。

地元住民と学生らがまちづくりを話し合った

地元住民と学生らがまちづくりを話し合った