土砂災害の克服へ 県がセンター整備
土砂災害発生のメカニズムの研究や防災の啓発を行う県の拠点施設「県土砂災害啓発センター(仮称)」が、平成23年の紀伊半島大水害の被害が大きかった那智勝浦町市野々地区に建設される。平成28年3月の完成を目指し、25日に入札公告を行い、本年度内に着工する。
県によると、同センターは木造2階建て、延べ床面積492平方㍍、総工費は2億1000万円を予定している。市野々地区の町有地4000平方㍍のうち500平方㍍を買い付けて建設する。
1階には、紀伊半島大水害の被災状況を伝える写真をはじめ、県内を中心とした土砂災害の歴史を収めたパネルや映像を展示し、土砂災害に関する情報を啓発する。2階には、国や県、大学の研究者らが、深層崩壊の起こりやすい地形やタイミング、地下水の含有量などを調査する研究室を設ける。
研究には、県や同町をはじめ、近畿地方整備局、国土技術政策総合研究所、土木研究所の他、和歌山、北海道、京都、三重の4大学が参加する予定で、研究者ら5~6人が常駐して研究を進めていく見通し。
22日の定例記者会見で仁坂吉伸知事は「紀伊半島大水害では61人が亡くなったり、行方不明になったりし、多くの人々に被害が出た。痛ましい経験の中から、被害を最小に食い止めたいという気持ちが乗り移ったような施設になる。災害を記憶に留めるとともに、克服するための研究をして、対策の材料を整えたい」と力を込めた。
来年1月末に入札を行い、2月中に施工業者を決定するとしている。